くれいふっかつ(消火後)

 どうやら、クレイが復活したようだ。あれから市政には一切関わらないと宣伝してたけど、どうやら見過ごすことができなかったらしい。それに、今の市政が頼りなくてクレイを求める声も多いとのことだ。例えバーニッシュ弾圧の一角を担ったとしても、その贖罪をバーニッシュ含む市民の生活クオリティを上げることで行えばいい。と、ていさい、なにこれ? よくわかんない。
「ねぇ、メイス。これ、どう読むの? 都合のいいことをいってる、ってこと?」
「なになに?」
「おい。どうしてメイスなんだよ。俺には聞かねぇのか?」
「ゲーラはなんか、なんとなくで答えるから」
「ふむ。『体よく』だな。上辺だけを上手いこと取り繕う様だ」
「なるほど」
「で? 中断したのが、ここからだったか?」
 ゲーラの指差したものを見る。『ていさい』から止まった文章を読み進める。それで、色々とあって表へ顔を出すようになったらしい。
「つまり、クレイが普通に街中で見かけることも多くなる、ってこと?」
「引き籠もりから卒業したのか?」
「だろうな。といっても、会う機会は殆どないだろう」
「絶対ぇリモートワークしてるぜ。コイツ。出てこねぇだろ」
「案外、どこかで会うかもしれんぞ? デリとかデパートやら」
「どっち? スーパー?」
「そうともいう」
「まぁ、会ったとしてもスルー一択だな。相当接触はねぇだろ。コイツが一般社会に出たとしても」
 ふあーあ、とゲーラが大きく欠伸をする。もう一回タブレットに表示した記事を見る。プロメポリスにある新聞社が掴んだネタで、他の新聞社も同じことをいっていた。そこからネットの記事に転載されるというか、売った? 見ていた記事を見る。黒いロングコートを羽織ったクレイの後ろ姿があった。
「なにしてるんだろ」
「視察じゃね?」
「そこは結構、無法地帯だったからな」
「大変そう」
 しかも消えた片腕が復活している分、重労働が待ってるだろうなって思った。


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