グラサンの直談(ゲーラ、メイス/ 前日譚前)

 いや、ちょっと待ってくれねぇかな? うん。お前らが付き合ってねぇのは、よーっくわかった。ななしもそうじゃねぇんだろ? なら、お前たちは付き合ってもねぇし、恋人同士でもない。おい、こらそこ。どうして不服そうな顔をした。後ろを向くんじゃねぇよ!! お前ら二人だよ! 二人!! よーしっ、今から俺が寄せられたお便りを読むぞ。「お便りなんかあるのか?」ってコラ! んな顔すんなッ!! こっちが代わりに色々と愚痴やら不満とやらを受け止めてんだよ! っつーわけで、お前らにも共有してもらうからな。よく聞けよ。なに? ななしにいわないのかって? ほぼお前らのせいだから、お前らにいった方が早いだろ。じゃ、行くぞー。
 まず一つな。まぁ、これは。うん。お前ら、よくバイク乗ったあとのななしの髪、撫でて直してやってるだろ? バイクの二ケツってのも、中々にあれだけどよ。あれ、なによ? は? 特に理由もないぃ? あぁ、そう。じゃぁ、次な。
 あのな、お前らの私物って、なにかわかりやすい特徴でもあるのか? あー、いや、別にお前らのせいじゃねぇけどよ。ななしのヤツ、妙にお前らの持ち物に関しちゃ見つけるのが早いって噂があるらしくってよ。それを疑問に思ったヤツが俺に聞いてきて、はっ? そいつの顔と名前はだって? あー、後で教えるよ。次な、次。
 あっ、それとななしのヤツ、お前らの気を引きたいときに、よく袖をクイッと引っ張るよな? あれ、なによ。見せつけてんのか? おい、ゲーラ。嘘じゃねぇよ! おまっ、自覚ねぇのか!? そしてメイス。お前、なに誇らしげに胸張ってんだ。ぶっ飛ばすぞ。いや、お前らと比べたら俺のバーニッシュとしての力は弱いだろうが、意気込みとしてではぶっ飛ばすぞっていう気持ちが強いわけでな。よし、次いくぞ。次。
 あとな、お前ら。多分バランスよく調達してくれてると思ってるんだけどよ。おい、ゲーラ。「そりゃそうだろ」と当然みたいな顔をしないでくれ。今からいいだすこっちの胸が痛くなる。メイスもなに素っ頓狂な顔をしてんだ。おまっ、もしやアレだけは例外だと思ってたのか!? なに? 特別枠? はぁ、意味がわからないと。はー、わかった、わかった。今からいうよ。お前ら、基本的にななしの食えそうなものを選んで調達してるだろ。しかも食えなかったら残りを貰ったりしちゃってよぉ!! んだよ!? 恋人同士か!? 恋人同士じゃねぇとやらねぇだろ! そんなの!! あぁ、わかってるとも! そうじゃなくたってやれるってなぁ!! なぁ、ゲーラ。ちょっと今慰められると、俺ぁつらいんだわ。ちょっとソッとしておいてくれねぇか? そしてメイス。「僻みか?」ってなに聞いてきてんだ。お前に人の心はないのか? あー、あとは、そうだなぁ。
「お前らななしにベタベタしすぎじゃね?」
「はぁ? んなの特にねぇだろ」
「適性距離を保っているが?」
「はっ? まっ、はぁ? 今、なんて?」
「別に、ベタベタしてねぇってこった」
「アイツにとっては普通の距離だろ」
「いやいや。俺らに対する距離感と違うじゃねぇか。なに? 無自覚なの? お前ら」
「いってる意味がわかんねぇ」
「帰っていいか?」
「どこにだよ? とりあえず、アイツらにはどう説明したらいいんだよ。この手の話を俺、何度も聞いてるんだぜ?」
「なら、見たまんまの通りだって答えりゃぁいいだろ」
「もしくは、今後文句をいうようなら直接本人にいえ、かだな」
「それができねぇから俺にいってくるんじゃねぇか!? あっ。お前ら、もしかしてアレだろ。ななしと少しでも離れてたから」
「ちょっと迎えに行ってくるぜ」
「アイツは迷子になりやすいからな」
「ここでどう迷子になるってんだよ!? おい、コラッ! 保父さんかお前らは!?」
 そもそも、まったく終わってねぇ!! ちょっ、せめてこの堂々巡りをどうにかしてからにしやがれ! おい、コラッ! まっ、待てよ!! あっ、あぁあああ! 合流しちまった。くそっ、胃が痛ぇ。おまっ、周囲から突き刺さる視線に気付けよ、お前ら。
(しっ、嫉妬がどこもかしこからきてんだろうが!?)
 それともなんだッ!? それすらも余裕で気にしないってか!? 勝者の余裕かよ。クソォ。ななしもそう心配そうな顔をこっちに向けるな。まるで俺らの方が羨んで貧しい人間のように思えてくるじゃねぇか。おい。ゲーラ、メイス。なに適当いってんだ。「どうしたの?」と俺を心配する声に「知らねぇ」だとか「放っておけばなんか治ってるだろ」とか適当なことをいうな!! お前らの対応が問題じゃねぇか! ちったぁマトモに取り合え!! あーあ! ったく、全部自分たちでどうにかしろって投げるか。
 ったく、相談役なんて受けるんじゃなかったぜ!


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