寝ずの番のある隙間(村前)

 ギュッとななしがしがみ付く。こうして見ると、子どもに見える。しかし、年齢は自分たちくらいだ。ポンポンと眠るななしの背中を叩く。その様子を見ていたメイスが、ぼそりと呟いた。
「ベタベタだな」
「そうかねぇ。それほど感じねぇが」
 と返すが、いわれた本人は然程興味を感じない。「ふぅん」とだけ返す。パチッと火の粉が飛んだ。
「それより、仮眠しなくても大丈夫なのか? 次、ゲーラだろ」
「あー、大丈夫だろ。少しぁ寝たし、夜通し走り続けるよりかはマシだ」
「そうか」
 ならいいんだが、と呟いて火にくべる。薪は必要ない。自力で炎を出し、弱まる火に力を与えるだけで済む。メイスの力を受け、一層焚き火が強くなった。増長した寝ずの火の熱さを感じ、ななしが目を開ける。薄く目を開け、しばしばと瞬きをする。起きようとするななしの頭を、ゲーラが撫でた。
「まだ朝にゃぁ早ぇよ」
「そうだぞ。お前は先に見張りをしただろう。朝まで寝ておけ」
「んっ、いわれても」
 ふぁ、と欠伸をする。中途半端に起きてしまった以上、もう一度寝付くのは難しい。もぞもぞと起き上がろうとするのを、ゲーラが止めた。腕を掴み、引き寄せて横に寝かす。ななしが横になったのを見て、ポンポンと背中を叩く。それを見たメイスが、またぼそりと呟いた。
「まるで子守りだな」
「あとでお前もやるんだぜ。なにかあってからじゃ、遅ぇからな」
「あー」
 忘れていた、といわんばかりにぼやく。過去に二度、未遂があった。そのときの感情に共震したのか、パチッと火が強く弾けた。


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