ゲーラとメイスに会ったのはいつだったか

 深く過去を思い出してみよう。それは辛いし炎の勢いもとても増すから置いといて。その辺りに触れない一番古い記憶といえば、ゲーラとメイスの二人に会ったことだ。最初の別れと出会いというべきか。流れ者として私があのグループに保護されたとき、二人は私の顔を見ていたのらしい。かくいう私はといえば、当時は当時でいっぱいいっぱいだったので、全然そんなこなど覚えていないが。今だって「そんなことあった」といわれても、イマイチわからない。
 では、当事者同士で互いの存在を認知したのは?
「いつだったかなぁ」
「はぁ?」
 目の前で屯してるゲーラがいった。
「独り言だったんだけど」
「なにが『いつだったかなぁ』なんだよ」
「最初の出会いが? ゲーラとメイスの二人に会ったって、いつだっけ?」
「はぁ?」
 今度はメイスが振り向いた。手にオイルを持っている。廃油だ。
「最初の出会い。覚えてるの?」
「お前はどうなんだよ」
「全然。あんま思い出せないから、いつだったかなぁ、と思って」
 そう聞けば、メイスも黙った。視線を宙にやり、空へ投げる。そしていった。
「どうだったんだろうな」
「オイ!」
「あ、じゃぁゲーラはどうなの?」
 声を荒げたということは、覚えているということなんだろう。それを突っ込めば、ゲーラは黙った。
「さ、さぁな!」
「なんでよ。あの口ぶりだと知ってそうな感じだったけど?」
「とにかく! 今日も燃やすぜ!!」
「おう!」
「人の前でオイルパーティしてからの燃焼系をしないでいただきたい」
 といったのに、二人とその他大勢は、地面に撒き散らした廃油に向かって炎を投げつけ始めた。
 大きな炎が広がる。
(あーあ)
 そういえば、二人がこんな遊びをして、それを眺めているときに声をかけられたんだっけな。
 そういうことを思い出しながら、欠伸を一つしたのであった。


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