《閑話》モブの視線《詰め合わせ集》

1.見回り確認はちゃんとしよう(前日譚前 / ある構成員の証言)
 やっぱこの時間は最高だな! あの二人に煩くいわれてムカついたのも忘れるわー。と思ったら、大事件である。なんと、本日の野営地となる廃墟がぶっ飛んだ。原因はこれ、爆薬。見回りを担当した此方の確認ミスだった。調子に乗って燃えまくった己の身を反省したい。しかも、お取込み中。ななしがゲーラとメイスの間に挟まれていて、なんかその。うん、一瞬で『死』を悟った。しかし好きな子の手前なのか、命を取るような真似まではしなかった。ただ、睨んできた顔がすげぇ怖い。その後に、口頭での注意である。ある意味助かった。本当に助かった。今度から、ちゃんと注意して見回りをしようと思う。


2.突撃隣のインタビュー!(村ができた頃 / ある村人の行動)
 気になって夜も眠れない!! というわけで、幹部の二人に突撃してみた。もしもし! 最近あの子と一緒にいるらしいんですが、好きなんですか? 女性の誘いを断るのもそのため!? それに対して雷刃の方は「うるせぇ! テメェに関係ねぇだろ!!」と怒鳴り、風刃の方は「それが貴様に、なにか関係があるか?」と睨んできた。怖い。肝心の三角関係の真ん中、渦中にいるあの子は首を傾げて「家族だよ」と答える。なんか、バルカン半島の火薬庫を思い出してきたぞ!?
 ついでにボスに聞いたら「そんな人のプライバシーに土足で踏み込むつもりか?」と注意をされたので、これ以上のインタビューは避けた。


3.和人の証言(村 / ある村人の観察)
 また幹部の二人が、あの子を探してらぁ。この村に来たのはつい最近だが、新参者でもわかる。あの二人、ヤツに首ったけだな。しかしまぁ、一介の村人である此方にはどうすることもできない。ましてや、向こうの探し人なんて知る由も、あっ。煙管を落としそうになる。普通にいたわ。呼び止めて、向こうが探していることを伝える。そうすると、キョトンとした目付きをして「わかった」と答えた。それからすぐに向こうへ行き、幹部の二人が驚く。
 ふぁー、わかりやすい。わかりやすいことこの上ねぇ。


4.麦畑での遭遇(前日譚前 / ある構成員の感想)
 この地域に麦畑が残っているとは珍しい。多分、野生化したものがそのまま、って感じだろうな。粉挽きさえあれば、小麦粉でも、いや、そもそもそんな余裕があるか? 放浪のマッドバーニッシュに。そんなことを考えたら、向こうから大声が聞こえる。「ななし!」と。ゲーラとメイスの声だ。見れば、新入りのアイツが興奮して麦畑へ入っていた。それに驚き、ゲーラとメイスが追いかけたようだ。アイツらも大変だなぁ、としみじみと思う。「麦を燃やすなよー」とだけ声をかければ、あ、コケた。
 消えた新入りの元へ、ゲーラとメイスが急いだ。


5.あの子に首ったけ?(村 / ある村人の想像)
 リオ・フォーティアって子は凄い。あぁ『子』っていったら失礼か。リオこそバーニッシュの救世主だと思う。どこにも行けなかった私たちに、こんな居場所を作ってくれたから。でも、最近気になるの。リオが信頼を寄せているあの二人、ゲーラとメイスだっけ? 彼らって、ななしって子に首ったけだと思うの。ほら、あの二人とリオと一緒にいる。あっ、どちらかといえば二人といる方が多い。それに、あの二人も妬いているのがわかりやすいし。やっぱり、あの子のことが好きなんじゃないのかしら。私はそう思うわ。


6.ある店員の遭遇した出来事(消火後)
「マカロン」
 そんなに珍しいのか、女性のお客さんが商品の名前を呟いた。ハイハイ、ご注文ですか。と声をかけようとしたら、両脇の男性が声をかける。「マカロンだな」「巷で有名のヤツだな」こちらが声をかける隙もない。こっちは店員なのに。そもそも、店員に商品の説明を聞いた方が早いんじゃないのか? モフモフの男が女性と一緒に選び、髪の長い男が注文を伝える。ハイハイ。そのことを同僚に伝えたら「当たり前だろ」と返される。
「好きな子を取られたくなかったんでしょ」
 あ、なるほど。


7.あるお利口な子どもの助言(村)
 気付いてないかもしれないけどね、ななしにとっておきの話を教えてあげる。ゲーラとメイスはななしのこと、好きらしいよ。えっ、気付いてないの? おかしいなぁ。あんなにわかりやすいのに。えっ、音楽の方が好き? 違うよ! 好きなのはななしの方で、って、あ! 待って、待って!! 違う、違う! 楽器を作り出さなくていいから!! えっ、セッション? メイスは元バンドマンだし、ゲーラも弾くからって? そんなの初めて知ったよ!! だから、違うって! 二人が好きなのは、って、あー! だから待ってってば! ななし!!


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