ラテ

 家に牛乳は、まだたくさんある。ホウジチャ=ラテという粉末があるのらしい。キッチンの棚を探したらあった。「それ、ガロと買ったものなんだ」とボスがいってた言葉を思い出す。でも飲み忘れているようだ。これを使おうとしよう。適量を量って、鍋に入れる。電子レンジだと熱そうだ。クルクルとレードルで掻き回し、温かくなったところで粉末を入れる。泡立て器を投入。回す内に泡が生まれた。コトコトと、膜を張らないよう気を付ける。沸騰しそうだな、というところで火を切った。全部、四つのカップに分ける。それらを一度に持って行くことは無理なので、トレーを使った。
「どーぞ」
「おっ、ワリィな」
「すまん」
「ありがとう」
 それぞれに渡す。今日は休日でなく非番だから、外出することもできない。というか難しい。なので、リビングで寛いでいた。ゲーラとボスはゲームをしていて、メイスは音楽を聞く。私の座る場所は、探すしかない。テーブルの端に自分のカップを置くと、ゲーラが腕を引っ張ってくる。片手間にグイッと。続けてメイスが肩を引っ張ってきた。空いた席に座らされる。「あの」ねぇ、と声に出した方がよかったか。尋ねるよりも先に、スッと端に置いたカップが戻ってくる。ゲーラが画面から目を離さず、私の前に移した。メイスが横から、雑誌を渡してきた。それより、iPadとかで情報を閲覧したいのだけど。
「んっ、ラテか。紅茶みたいな甘さがある」
「砂糖は入れてないけど、多分最初からなのかな」
「けど、歯に染みる甘さじゃねぇぞ?」
「茶葉に合わせた甘さだな」
 いや調整か、とメイスが付け足す。いわれてみれば、紅茶に砂糖をドバドバ入れた感じのに近いかも。人工調味料も少ないし。グッと一口を飲む。ゲーラの画面を見れば、戦車で戦場を走っていた。
「スコア?」
「ん」
「ゲーラと同じのを、ボスも?」
「いや。僕はアクション系だ」
「へぇ」
 やってるソフトはどちらとも、違うのらしい。カチャカチャとボタンを押す音も、よく聞けばタイミングや動作も違う。ズイッとメイスが片耳にイヤホンを差してきた。右耳からロックが流れる。
「中々痺れる曲だね」
「あぁ。歴代ヒットナンバーだからな。一度は聞いたことがあるだろう?」
「あるかも」
「おっ、ベストタイミング。ななし、見てみろよ」
「えっ」
 ゲーラに誘われて画面を見た。パーフェクトを決めて、戦績が表示される。結果はAだ。中々、頑張ったんだろう。「これでパーツが買えるぜ」と嬉しそうにいう。そこまで戦車ゲームが楽しんだろうか? それとも、パーツカスタマイズがバイクに通じるからだろうか? 少しわからない。
(そういえば、バイクのパーツも)
 もうそろそろどうにかしないと。非番だからバーニングレスキューの本部に行けないし。暇なときにバイクやギアを弄ろう。そう思いながら、ラテをまた一口飲んだ。


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