軟禁云日

 監禁生活云日目。そろそろ、暇も尽きてきた。食糧は、必要になれば買い足せばいい。スーパーも店の方針を決めて一人ずつ、一定人数だけ買えるよう対処をした。在庫も充分、物流も必要最低限だけ回復してきた。唯一、娯楽だけが不十分となってきた。スマートフォンで検索する。家の中でテニスをやるようだ。フライパンと、ボール。ボールなんてあったっけ? ゲーラに見せる。
「やる? テニス、片付ければできそう」
「あ? 窓に当たらなけりゃいけるか」
 なら、整理した方がいいのだろう。
「ただ、フライパンはんなにねぇだろ。あってもサイズ違いだぜ」
「あっ」
「それとボールな。せいぜい、布ボールしか作れねぇぜ。端切れとかでよ」
「しまった」
「それとこのネットみたいなもんもな。シーツで代用するしかねぇぜ」
「洗濯するしかない」
「汚れちまったらな」
 そんな話をしていると、買い出しに行ったリオとメイスが帰ってくる。荷物は大量だ。
「ただいま。とりあえず、買える分だけ買っておいたぞ」
「購入制限はあったがな。とりあえず、預かったIDカードを返しておくぞ」
「おー」
「これが人数分の証明? 普通に、偽造も出来そうだけど」
「ピッと、バーコードで判別していたぞ?」
「恐らく、アレで贋物と判別しているんだろう。まぁ、既に登録した時点で情報は行っている」
 それで判断もしているのだろう、とメイスは付け足した。流石、マッドバーニッシュの参謀。判断と分析が的確である。「それにお巡りも巡回してるからな」と根拠を強めた。チラッと窓の外を見る。確かに、パトカーがいた。こちらを監視するというよりかは、歩道の様子を見ている。不要の外出をする人間がいないか、見ているようだ。
「俺たちに任せろ。ほら、さっさとシャワー浴びてこい」
「けど、僕だってできるぞ?」
「いーんだよ。ほれ、さっさと行ってこい」
「ちぇっ、なんだ。お前たちは」
 仕方ないなあ、と言い捨ててリオは出て行った。着替えは? 多分、パンイチか腰にタオルを一枚巻いた状態で出てくるんだろうな、と。一抹の不安が過った。私も片付けに参戦する。本当に、量が多い。
「しばらく出なくて済みそう」
「そのために買い出したんだからな」
「おっ、コイツがテニスしようっていってたぜ。メイス、するか?」
「なんでだ」
「それか、缶詰で水を垂らして、ドラムをしちゃう?」
「それは共鳴器に近い遊び方だな」
 なんだそれ。突然出てきた難しい単語に、戸惑ってしまう。新鮮な野菜もある。多分、今日中に凍った野菜とはオサラバだな。メイスに渡し、ゲーラに渡す。ビーンズにパスタ。シーチキンもあったら最高なのに。
「今日、なにを作るの?」
「少し、豪勢にだな」
「たまには美味いもん食いてぇからなぁ」
「ふぅん」
 どうやら、今日は腕を振るうのらしい。いったい、なにを作るのやら。「手伝おうか?」と聞くと「いい」と返ってくる。なら、しばらくリオと対戦して過ごすことにしよう。電子マネーはまだ残高あるし、新作を買える余裕もありそうだ。ただ、ガロと対戦することが楽しそうだから、それにも依るけど。
 うんうんと考えながら、遊ぶゲームについて考える。すると、テーブルにはコーンの缶詰だけがあった。
「コーン」
「それはこっちだな」
 ヒョイッとゲーラの手に、コーンが移った。


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