やけに冗長(メイス)

 やけに下着がきつく感じる。ブラの中央がなんか浮いているし、ギュッと押し付ける感覚が息苦しい。どうしよう、と考えて洗濯する下着を眺める。下着の形も崩れてきたし、捨てた方がいいかも。
「買い換えた方がいいぞ」
 今日の洗濯係であるメイスが、ボソッといってきた。咄嗟に腕で胸を隠す。振り向けば、相変わらず涼しい顔をしていた。
「メーカー元で形もサイズも違うから気を付けろよ」
「く、詳しいね」
「そりゃぁな。買いに行くか?」
「い、いい。自分でいけるから」
「そうか」
 サラッと流して、メイスが小さくなった下着を回収する。あ、洗ってから捨てることにしようかな。
「こっちで処分しておくぞ」
「えっ」
「は?」
「いや、変なことに使わないよね?」
「当たり前だろ。寧ろ、このまま捨てたら変質者に悪用されるぞ」
「えっ。嘘」
「大マジだ。とりあえず細かく刻んでおくか」
「えっ、それだったら自分でやれるよ」
「お前、そのまま放置しそうだろ。そしてそのまま捨てる」
「うっ」
 言い返せない。心当たりもあるから、すごく言い返せない。グッと答えに困ってると、メイスが手を伸ばしてきた。ツン、と指先で額を叩かれる。
「面倒臭がるなよ」
「うっ。き、気を付けます」
「下着一つだけでも大きく変わるからな」
 それとも、とメイスが近付く。
「また選ぶ手伝いをするか?」
「い、いらない!」
 咄嗟にそう返すと、メイスが喉の奥で笑った。


<< top >>
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -