ライダースジャケット

「あ」
 珍しくメイスがジャケットを着てる。
「いいなぁ」
「おっ、ななしじゃねぇか。どうする? 今から見回り行くけどよ」
 索敵もかねた、はぐれたバーニッシュも探すヤツだ。確かにバーニッシュサイクルを出せば事足りる。けど。
「あー、ライダースジャケット」
「あー。そういや、そうだったな」
「確か、選ぶ暇がないんだったか?」
 思い出したようにメイスが口を挟む。確かそのはずである。なんか、選ぶ暇がなかったというか、見つける暇がなかったというか。
「やっぱり、着た方がいい?」
「まぁ、そりゃぁな。なんてったって、俺らの象徴みてぇなもんだし」
「転落時の事故も防げるぞ」
「でも、ピッチリとするじゃん?」
「まぁ」
「そりゃぁな」
「じゃぁ」
 そういって、自分の袖を見せる。腕のところは大分余ってる。ブカブカだ。
「着れる?」
「あー」
「オーバーサイズを探せば、ワンチャンだな」
「あるの? 脇、ごわごわとしそう」
「パーカーを変えりゃぁ、いけるんじゃね? どうせサイズ合ってないんだしよ」
「別に、これでも使い道が」
「俺たちの目のやり場も考えろ。とりあえず、捜すついでに探すか」
 捜すって、なにを? そう聞こうとしたら、二人はすでに動いている。「バーニッシュサイクル、出した方がいい?」と聞くと「どっちかに乗っとけ」と返される。とりあえず、索敵の方を考えて、一番足場の良い方に乗ることにした。
 ゲーラの方に近付く。いや、やっぱりメイスの方も捨てがたい。
「うーん」
 安定した足場と足回りの速さ。この二つもどうも捨てがたい。どちらにするか迷ってたら「さっさとしろ」と二人から催促されたのであった。


<< top >>
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -