壁の燃えカス

 テンションが上がっちゃったのだろう。コンクリートの壁に焦げた後が付いていた。
「わぁ」
「まぁ、壊されなかっただけマシだろう」
「なにせ建設途中だったモンを使ってるからなぁ」
「僕たちが暮らす分には大丈夫だと思うが、まぁ。政府に気付かれる前に暮らせる土地を見つければいい」
 はぁ、とボスが溜息を吐く。確かに、今はこのスペースで暮らせる分だけの人がいるけれども、政府に捕まった分を考えると足りない。もっと広い場所を、と考えるのは至極真っ当なことだ。
「ボスみたいに強い子が生まれると、大変そう」
「僕みたいに、か」
「あぁ、確かに。ボスみたいに強かったら、簡単に穴を開けているかもしれんな」
「おい。メイスまで」
「つまり強ぇヤツがもう一人いて、次期ボスの座が決まってることじゃねぇか!! おいおい、お先安泰じゃねぇの!」
「おい、ゲーラまで。そう簡単な話じゃないんだぞ?」
「まぁ、例えばの話だけど」
「そうだな」
「まぁ、状況を整理してみるか」
「おいおい。もうこの話は終わりかよ、メイス」
「この原因は、村の子どもたちがはしゃぎすぎたことが原因ですから」
 あ、無視した。というか今の感じからして、二人で結構話したことあるんだろうか。その話題。
「やはり、ガキどもで遊べる道具の充実が先決か」
「っつーてもよ、電気は使えねぇだろ? ゲーム機とか」
「カードゲーム? ってのならできるかと」
「なんにせよ、アナログだ。どこかにあればいいんだが」
 でも打ち捨てられた街は大抵、バーニッシュに焼かれた跡である。そして大抵、燃えるものは燃えている。
「はぁ」
 望みの少ない可能性に、一同溜息を吐くしかなかった。


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