捨てられたスーパーにて

「流動食ならいけるんじゃないのか」
 燃やす燃料として木の根やサボテンの実を口にする私を見兼ねたんだろう。ある日突然、メイスが食料調達の際にいいかけてきた。ハッとして口を閉じて、視線を逸らす。そういった飢えを凌ぐ方法は見られないように気を遣っていたが、どうやら見られていたのらしい。反省の余地があるな。そう思いながら、廃棄されたスーパーの棚に手を伸ばす。届かない。
(ゴボウ、とかだっけ。あれ)
 改善の余地を考えてたら、スッと横から商品を取られた。黙ってそれを見られる。
「乳児用品」
「食べれるでしょ?」
「まぁ、食料に間違いはないが。ガキどもがいるわけでもないしな」
「じゃぁ、残しておく?」
 メイスの目が悩むように、左右へ動く。スッと地面へ落ちる。
「そうだな。子連れのバーニッシュのためにも、残しておくか」
 意外にも決断が早い。私が取ろうとしていた商品は、元の棚へ戻された。なら一応、傷の手当てとかに使えるのを多少貰おう。
「食料を探しにきたんだぞ」
「知ってる。保険」
「その念の入れようには感謝するが、真面目に探せ」
「はいはい。あ、食品売り場のコーナーって」
「全滅だ」
 あ、そうですか。そういえば全部腐ってたっけな……。そう思いながら、他に食品のありそうな場所を探すのであった。


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