アンタレスは永遠に燃ゆる(黄長瀬)

「紬って、本当エッチだねぇ」
 赤いペディキュアを塗った足が、目の前でゆらゆらと揺れる。後ろ手を縛られた黄長瀬は、荒く息をしていた。まるで飢えた野良犬のようである。牙を剥き出しにして、ふぅふぅと、口の端から涎を垂らしている。
 ツッと赤い爪先が黄長瀬の腹を撫でる。厳しい鍛錬を経て割れた腹の筋をなぞって、ヘソを撫でた。そのまま腹の下へと落ちる。
 黄長瀬は息を飲んだ。
「まるで発情期の兎さんみたい。あっ、オス同士だと喧嘩しちゃうからダメか」
「おっ、まえ……ッ、な!」
「ハハッ! どこまで頑張れるかが見物だなぁ」
 赤いペディキュアを塗った足が粘液で濡れ始める。足の裏にビクビクと震える熱した鉄の熱さが伝わる。黄長瀬の全身の血が、全てそこに集まっているのだ。それに反して、黄長瀬の顔は青ざめるところかドンドンと赤くなる。ついでに息も弾み出し、鼓動も速くなった。全身の血が沸騰する。ガクガクと膝が震え始め、ペディキュアを塗った指の間から、透明な間欠泉が湧きだす。限界は近い。
「やっぱり、真面目だとムッツリスケベなんだね」
 楽しそうな声とは裏腹に、黄長瀬の中では恨みが募る。キッと黄長瀬の目尻が吊り上がると同時に、間欠泉が大きく噴き出した。小さく漏れた声に、赤いペディキュアを塗った足が降りた。
 地面に濡れた足の裏を付け、ねっちょりとカーペットにシミを残す。
「やっぱりエッチだ」
 その嬉しそうな笑顔を、黄長瀬は正面から受ける。その苦々しい目を網膜に焼き付けながら、黒いマニキュアを塗った指は、太い首にリボンを巻き付けたのであった。


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