突然月の日が始まったときの対応(_さなげやま)

「始まっちゃった」
 シャワーを浴びていた千芳が突然、そういった。先に話すが、俺と千芳はいわゆるそういう関係で、つまり恋人同士だ。だからキスもするしセックスもする。そういう仲だ。なので、ベッドでイチャイチャした後で一服しても、千芳がシャワーを浴びている音を聞いて待っていても、その間に血のついたシーツを見て青ざめていても、なにも問題はないのだ。
(よかった……。別に俺が下手なわけじゃなかったんだな)
 不覚にも、千芳の一言でホッとしてしまう。情けないことに、さっきまで俺の不手際で千芳に傷をつけたんじゃないのか、俺のやり方が下手だったのか……? と不安だったのだ。
 あんなに俺の下でよがっていたんだ。あれで演技だったら、三日は寝込む。とはいえ、千芳が体調不良だとしても早合点はよくない。なるべく落ち着いた口調でいう。
「なにがだ?」
「だ、だから、その……」
 もう、と千芳が小さく掠れた声で呟く。その声に、正直『かわいい』と思ってしまう。
 俺の下半身も正直だ。あんなに動いたあとなのに、もう首をもたげ始めている。が、俺ばっかりガッツいて千芳にケダモノと思われるのは不服だ。
 あくまで紳士的に振る舞うよう、努める。
「ん? どこか具合でも悪いのか?」
「だ、だから……あ」
 ポタッと音が聞こえる。千芳の腿の内側から、赤く薄い液体が漏れた。
 それが白い太腿を伝って、床に落ちる。正直エロいと思うし、生唾を飲み込んだ。しかし、俺は千芳の恋人である。あくまで紳士的に振る舞わねば。
 ティッシュを数枚取り、蹲る千芳に近付く。
「あ、あぁあ……。ご、ごめん……汚して」
「いい、気にするな」
「うぅ……」
「ところで、その。なんか、あれ……。そういうのは、持っているのか?」
 俺の質問に、千芳は首を横に振る。それもそうか、俺も予想外だ。だってあんなに熱い夜の後で誰がわざわざ種を流すか、と思うものか。千芳を浴室に戻し、温かいシャワーをかけてやる。
「なにか買ってくるものはあるか?」
「ナ、ナプキン……。あの、モノクロのでいいから……」
 ふむ、あのコンドームと一緒に置かれてあったヤツか。
 頷き、他に買うものはないかと尋ねる。だが千芳の口から「うぅん」としか出ない。それ以上のものはない。
 俺は「そうか」と頷き、シャワーを千芳に渡してから浴室を出た。
 本当は腹巻きとかあった方がいいんじゃないかと思ったが、千芳に『余計なお世話』といわれるのがオチだろう。
 適当に身なりを整え、戸締りをする。とりあえずナプキンとコンドームをもう一箱、それに温かい飲み物も買っておくか。
 千芳に一言いって鍵をかけたあと、コンビニに向かった。


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