コタツから出て寛いだら先輩にセクハラされた話

 ニットのワンピースはとても好きだ。なぜなら、着るのがとても楽だから。ティーンエイジの雑誌にも二十代OLをターゲットにした雑誌にも冬定番のコーディネイトのベースとして紹介されている。
 タイツとショートパンツ、それにブーティ、ロングブーツとムートンブーツ。これにコートを合わせれば、冬のコーディネイトはカバーできる。
 けれども、このようなセクハラに遭う目は想像できてなかった。
 先輩の手が私の足を撫でる。先程、先輩に「雪見だいふくくれ」といわれたのを断ったせいだろう。心なしか、いやらしさが混じってるように思える。
「先輩、セクハラです」
「あー? 気のせいじゃね」
 いけしゃあしゃあと私の足を見ながら、先輩は嘘を吐く。だったらなぜ、ショートパンツに手をかけているのか、突っ込みたい。
「私、そういう気分じゃないです」
「『そういう気分』ってなんだよ。ちゃんといわないとわかんねぇなぁ」
「だから」
「そういう気分です」という前に、ショートパンツの腰回りが緩んだ。この野郎、と口に出す前に先輩の手がパンツの中に入った。
「やだ、先輩、ひどい。セクハラ!」
「セクハラじゃねーよ。同意の上で行ってるし」
「全然同意じゃない!! 先輩の手、冷たいから嫌です! せめて温めてからにしてください!!」
「じゃ、お前が温めてくれや」
 千芳、と耳元で呼ばれてギュッと目を瞑る。先輩が頬を食む。雪見だいふくを断った仕返しなんだろう。頬を甘く噛まれたあと、無事を祈る雪見だいふくがカプリと先輩に食べられた。あ、この! 先輩に罵倒を投げようとしたら、ピックに刺さってるはずの雪見だいふくが先輩の口にあるのに気付く。
「あ」
 雪見だいふく、と雪見だいふくの無事を喜んでいたら、先輩の口とともに押し付けられた。
 そのまま口の中に雪見だいふくが押し込まれ、アイスが溶ける。口の中にバニラが広がるけど、だいふくの皮は溶けない。噛もうと思ったけど、先輩の舌がバニラごと私の舌を啜るからできない。
 せめて雪見だいふくくらい食べさせてくれてもいいのに! と抵抗を胸に吐きながら、ニットワンピの中に突っ込む先輩の手を受け入れた。


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