(無題_3)犬牟田サン

 スティック感覚で肉じゃがを口に放り込む。もう一本と思ったら指がかち合う。
「先輩、邪魔」
「ふぅん」
 無視をして一本放り込む。カップの中の残りを思いながら、私も一本放り込む。
 肉じゃがの甘い味が広がる。
「これ、私の」
「小腹が空いたんだ」
「先輩のあるでしょ」
「もう食べた」
 簡潔に事実を言い放つ。見れば、先輩の分はちゃんと空になっていた。
 それを手に取り、少し振る。
(ほんとだ)
「これ、いいな。美味い」
「でしょ?」
「たらこよりいい」
「ふぅん」
(人の好みはそれぞれだ)
 と思いながらもう一本食べようと思ったら、もう五本しかない。
「ちょっと」
「ん?」
「私の分、もうない」
「まだあるだろ」
「ない。先輩が食べすぎたんでしょ」
「ふぅん。なら今度買ってやるから、我慢しろよ」
 といって、先輩はまたもう一本食べた。


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