_(卒暁後)

 文月は最近頭を悩ませていた。猿投山ではない。猿投山が直接的な原因であるものの、そうではない。自分の身体をどうにかすれば、できる問題だからだ。インターネットで検索をする。どんなに調べても、ほしい情報を真逆のものしかなかった。(それだけ気にする人がいるのかな)それはそうだろう。そうした問題は破局に繋がる一つだともいわれる。(でも)文月の求めるものは違う。スマホを置き、一旦離れる。トイレへ行っている間、着信が鳴った。皐月からである。一向に出ないことを不思議に思った猿投山が、代わりに出た。「もしもし」『うん? 猿投山か?』「はい。文月のヤツは今離れておりまして」『そうか。ならまたで掛け直そう』達者でな、と皐月は電話を切る。通話が切れると、文月が調べていた画面が出てきた。瞬間、猿投山の顔がにやける。顔に熱も集まるが、それ以上に嬉しさが勝る。「おいおい」「マジかよ」「千芳」抑えきれない気持ちをブツブツと呟き、その場を歩き回る。トイレを済ませた文月が、部屋に戻ってきた。
「あっ」
 固まる文月とにやける猿投山の声が重なる。「その、それ」震える指が猿投山の手にあるものを指す。「あ、あぁ。気にする必要はないじゃねぇか」見当違いなことを言い出す。
「早くイこうが、俺は気にしないぜ? イッたらその分、気持ちよくなれるんだからよ」
「イッた回数で競ってるんじゃないんだから。その分、疲れるんだけど?」
「いいじゃねぇか。疲れて。その分、気持ちいいだろ?」
「それ、先輩だけのような気が」
「じゃなかったら、あんなに気持ちよさそうに締め付けないだろ?」
「殴りますよ」
「殴るなって。本当のことだろ?」
「そういうのが、空気読めてないってことなんですが?」
「そう怒るなって。ったく、夜はあんなに可愛いってぇのに」
「昼も抱いてるじゃないですか」
「おっ?」
 猿投山は声に出す。
「つまりシてもいいってことなんだな?」
「なんでそうなるんですか、馬鹿」
「だって、そうだろ? 昼間抱くってことを認めてるんだからよ」
「言質から推測して?」
「実際にやっただろ」
 事実を突き出されて、文月は返す言葉もなかった。


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