ねっとさーふぃん

 せいろの方が、野菜の甘味と旨味も逃がさなくて良いのらしい。オマケに蒸してる状態で放置することもできる。楽ちんだ。とはいえ、今の私にそれをできるか? といわれたらできない状態なわけで。ボーッとせいろの種類を見ていたら、先輩が眉を顰めた。
「千芳、それだとコンニャクはダメだぜ? ちゃんと茹でなきゃならねぇ。じゃねぇと、ちゃんと灰汁抜きができてねぇ状態になる」
「そうですか」
「おう。ちゃんと灰汁抜きしねぇと、腹ぁ壊しちまうからな」
(知ってる)
 思わず頬杖を衝いてしまう。口を開けば、あれやこれやとコンニャクだ。いったい、なぜこうもコンニャクのことばかり話すのか? いっそのこと、コンニャクと結婚してしまえばいいのに。とさえ思ってしまう。タップしてページを変える。「そこまで考えるなら、コンニャクと結婚してしまえば?」と思わずいってしまうと「あ?」と先輩から返事が返ってくる。これは、不機嫌そうな声だ。(しまった、喧嘩を売ってしまった感じか)そう思っても、もう遅い。腹を括って、話を続けた。
「四六時中考えてることはそればかり、口に出すこともそればかり。なら、そうなっても仕方ないかと」
「はぁ?」
「恋も相手のことを年がら年中考えることを発端としますし。今じゃ、コンニャクと結婚することも可能ですよ?」
「なにいってんだ、テメェ?」
「コンニャクとの結婚のススメ」
 そう告げただけで、背後から怒りのオーラが伝わった。振り返らなくてもわかる。「そういうことじゃねぇ」って伝えたいんだろう。でも先にいった通り、私にはそんな余裕はない。いきなり暑くなったり寒くなったり、転向の激変についていけない。それで体調が悪い一方だ。スッとタップして、またページを開く。Youtubeを起動したら、先輩がポツリといった。
「そういうのじゃ、ねぇ」
 今度は口に出していった。その熱い視線に対しては、今はスルーしておこう。ちょっと対応できるだけの体力がないので。ふぁ、と欠伸をする。お布団に潜りたいことを考えたら、先輩の熱い視線がまたこっちに向かった。でもATフィールドを張っているので、コトンと跳ね返しておく。あぁ、その元ネタ。あともう少しで公開だっけな? 公式アカウントを検索する。検索して、情報をチェックするだけに留めた。


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