just b* friends2 | ナノ




2.

こいつと、文次郎との関係を一言で言ってしまえば、「幼なじみ」兼「親友」だった。
それこそ記憶も曖昧な頃からの付き合いだから、きっかけも何もない。私がいる場所には必ず文次郎がいたし、文次郎にはいつだって私が見えていた。幼なじみなら他にも数人いたし、彼らとも仲が良いのは確かだが、あの頃から文次郎は私にとって特別だったのだと思う。私は文次郎が初めて買ったCDも初めて付き合った女の名前も知っている。文次郎もたぶん覚えているだろう。そしてきっと文次郎は、私以上に私のことを知っていた。
引き金を引いたのは、一体どちらだったのかは今でも判然としない。
その時にはもう、私は引き裂けそうに暴れる胸の内を宥めることに慣れ切っていたし、文次郎は文次郎で変わらず暑苦しくばか正直だった。夏の夜、冷房で閉ざされた部屋で、あいつの袖を掴んだのは私。私の髪を撫でて、肩を引き寄せたのはあいつ。触れた瞬間全てを理解した。遠くで誰かが何かを叫んだ気がしたが、そんなのはどうでも良かった。私はずっと長いこと文次郎を求めていて、私を埋められるのは文次郎だけだった。「怖いか」とあいつは聞いたけれど、私は黙ってあいつの口を塞いだ。言葉は意味を持たずに二人の間で灰になり、合わせた手のひらの中へと消えた。細胞の一つひとつまで流れ込んだ感情を抱き締めて、私たちはようやく恋を始めた。



思い出すよ、初めて会った季節を


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