just b* friends1 | ナノ




1.

脳の右の方から、ぱらぱらという雨音が降ってきた。恐る恐るまぶたを上げれば時間が止まったような薄暗い部屋、そして背中に貼りつくあたたかな温度。首筋にかすかな息使いを感じてそちらに視線を投げれば、安心な寝顔が見えた。
枕元のデジタル時計は17時を映しているから、もう5時間近く眠っていたことになる。体の節々が緩く痛む上に何だかだるい。疲れていたとはいえ、同じ体勢のまま寝るには長すぎる時間だったようだ。

(…あっけない)

こうして目覚めるのはこれが最後になるというのに、噛み締める間もなかった。ただ縋りついていくことに必死で、翻弄されるままに熱を掬うのが精一杯だったというのもあるし、あるいはそれを無意識に忘れようとしていたのかもしれない。何も告げていない筈なのに、あいつは妙に焦った声で私を呼んだ。伊達に10年側にいるだけあって、私自身が気付かないような変化すらあいつは時々嗅ぎ分ける。だからこそ今日も細心の注意を払ったつもりだったが、もしかしたらあいつには通用しなかったのだろうか。

(まあ、それでも構わない。もう決めたことだ)

私は左肘に体重をかけながらゆっくり起き上がると、軋むスプリングに気を配りながらそっとベッドから抜け出した。床に散らばった服の中からてきとうにシャツを拾い上げて羽織ると、改めて昏々と眠る幼なじみに向き合った。



気付いたんだ昨日の朝早くに、


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