「し、しら・ないっく・・はぁっ・・・あぁんっ!」
唯一自由になる頭を左右に振って、なんとか伝えようとする燐。

「知らない?そんなわけないでしょ?僕を馬鹿にしてるの?」
今度は眼鏡が白く光った様な気がした。
「っあ・・・し、て・・・ない・・・あっ、ぐすっ・・・ひっく」
涙を流すその目で、訴えるように雪男を見つめる。

「じゃ、何処へ行っていて、何をしていたのか、はっきりと言ってもらおうか?」
雪男の眉間にしわが寄る。

行為が始まって初めて表情を変えたかもしれない。

「ぐすっ・・・ひっ・ ・・あっ、くっ・・と、・・ ・とめ・・・あぁん」



パシッ



空を切った音のあと、大きく弾かれる音が部屋に響いた。
「痛っ!!!」
雪男は振り下ろした鞭を持ったまま、再び腕を組んだ。

「聞いた事以外言わなくていい。フェレス卿を巻き込んで、僕に黙って、嘘吐いて、一体何をしてたかって聞いてるんだよ」
静かだけれど、明らかに怒っている雪男の声が、お尻の痛みではっきりと聞こえた。

「ふっ・・ぐすっ・・・い、いえ・・・ない・・・っく」
叩かれたからなのか、本当に心底雪男が怒っているのだと知ったのか、燐は先ほどよりもボロボロと泣き出し、道具の刺激に耐えながら応えた。
「言えない?どうして?」
ぐすぐすっと喘ぎながら泣く燐。
雪男は燐が応えるのを待つ。
「ぐすっ・・ いえ、・・ない・・・ひっ・・今は・・・いえ・・ないっ!はあぁんっ!!」

応えは期待を裏切った。
「っそ。『言えない』んだね。」
そういうと雪男は鞭を机に置き、燐が身につけている道具全てに、ダイアルを中にして、そのまま扉の前へ立った。
「あぁぁ!!イ・・イクっ!!・・・ゆき、・・・はぁん!!・・・まっ・・・って、あぁぁっ!」

悲鳴にも似た、喘ぎ声が一層するが、雪男は全く気にしていない。


「僕は夕飯を摂りに行ってくるよ。戻ってくるまでに、言えるようになっててね」
パタンと扉が閉まる。
それは燐にとって絶望の始まりを意味する音だった。





絶えず、何の変化もなく強烈な刺激を与え続けられる中、どのぐらい時間が経っただろう 。
聞きたくない自分の喘ぐ声と、自分を攻め続ける機械の音だけが部屋に響く。
身体は煮え立つほど熱い。
達してきってしまえばこの熱も治まるのに、いくら達しても出口が塞がれたままでは、熱がこもって行くだけだった。
今まで幾度なく、弟を怒らせ無理やり鳴かされたことがあったけれど、ここまで徹底的にされたのは初めてだった。

それは多分、行動制限ある燐が雪男の知らない所で、行動していたことへの心配。
そして、いつまでもその内容を話さない燐の強情さに憤っていたのだろう。
燐には、それがなんとなくわかっていながらも、それでも口を割るわけにはいかない理由があった。

「あっ・・ひっく・・あ、ぁぁあああ!!」
引っ切り無しに、空イキし続ける体。
気を失ってしまえば楽なのに、そう簡単にはいかず、燐は一人でイキ地獄を味わされていた。




コンビニへの行き帰りに鍵は使わなった。
兄さんが根をあげるのには、時間がある程度は必要だと思ったから。
流石にこんな時間ではコンビニに総菜はなく、仕方なくカップ麺を二つ買ってきた。
兄さんがあとで食べるかどうかは、わからないけれど、残っても困るものでもない。
箸を置き、ごちそうさまと言って、時間を確認する。
放置して1時間、そろそろ様子を見に行くか・・・。

部屋に近づくと、相変わらずバイブ音が聞こえる。
部屋を出る時は、あれだけ艶のある声で鳴いていた燐の声がおかしい。
雪男はそれに気付くと、少し歩く速度をあげる。

「はっ・・・ん、は っはっ・・・あぁっ・・・はっ」
扉を開けて燐の様子を見ると、何度も空イキをしたであろう先走りの溜まりを作り、浅い呼吸をしながら、小さくでもしっかりと喘いでいた。

「兄さん・・・」
イキ過ぎて疲れ切った表情の燐を見て、優しく声をかけ、燐の顔の所に膝を着いた。

全ての道具のスイッチを素早く切ってやると、力なくその場に伏せた。
泣きじゃくった顔を、膝の上にのせ、手のひらで優しく拭ってやると、ボロボロと泣き出した。
「ごめ・・・ん、な・・・さい・・ゆる・・・して・・・ひっく」
無理な声の出し方を続けたせいで、声がかすれている。

「何がごめんなさいなの?」
雪男が一番聞きたいのは、自分に黙って、メフィストを巻き込み、何をやっていたかであって、謝罪は二の次だった。
とはいえ、日ごろから意地っ張りの燐が、こんなにも素直に謝ってくることに、雪男は戸惑った。

「ひっく・・・ごめん、な・・・さい、ぐすっ・・・心配・・かけて・・ごめん・・・な、さい・・ひっく」

雪男の声が聞こえないのか、謝り続ける燐。
「兄さん、謝らなくていいから。一体どこで何をしていたの?」
少し声を尖らして聞いてみるものの、燐の耳には届かない様子で、弱々しく泣きながら、雪男に謝り続け、そのまま意識を無くした。
「・・・兄さん」


雪男は、全ての道具を燐から取り除き、ベットへその身を移してやると、全身を綺麗に拭ってやり、優しく布団をかけてやった。




翌朝、昨夜のことがよほど体に響いたのか、昼になっても燐は起きる気配がなかった。
このまま、燐が起きるまで傍に居ようとしたが、任務の電話がかかってきた。
燐の机に、「収納庫にカップ麺あるからね」と置き手紙をし、鍵で開けた扉を出た。
任務から帰ると、自分の机に「カップ麺ありがとう。夕飯、冷蔵庫にあるから」というメモと別 に、メニュー一覧が乗ったメモがあった。
燐は、任務に出かける前とは違う服を着て、寝ていた。





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