5000HIT企画アンケート三位 雪雪燐(R18)
分裂実験 







「だから、いい加減真面目にやれよ!そんなんだから学校でも塾でも追試なんだよっ」

「うっせぇな、真面目にやったってわかんねぇーんだから仕方ないだろっ」

「真面目にやったことがあるみたいな言い方しないで。ったく、兄さんのせいで僕の仕事が増えるってわからないの?」

一問解こうとしては余所見をし、雪男に促されて、別の問題に取り掛かるがやっぱり分からず、明日の弁当の中身を考え中断する。
そして再び促されては、問題を見るが促されただけでは難易度が緩むわけでもなく、仕舞いには休憩と称してベットに転がりケータイを弄る始末。

いつもなら、この段階を経て眠ってしまうのだが、今日こそは寝かさないとばかりに、雪男が大声を出した。
『わからないコトがわからない』という事を、分からない雪男に頭ごなしに怒られるのは、講師と生徒の関係になって何度目だろうか?
辛いことに、相手に分かるように上手に伝える術を持たない燐の『言いたいこと』は、雪男には伝わらないが、その術を持っている雪男の『言いたいこと』は分かるということ。


「そ、それについては、ごめん…」

「それについては?迷惑かけてるっていう意識あったの?」

「うっせぇな。謝ったろっ!お前ネチネチと意地悪いんだよっ」

「今度は逆ギレ?僕は当たり前のコトしか言ってないけど」

「う゛っ・・・」

そして、いつも言いたい事の半分しか言えずに、先に雪男が話を進め、結果的に言葉では勝てずに白旗を揚げざる得なくなるのだ。
何か言い返したいけれど、雪男の言っている事がわかるだけに言い返せず、拳をぎゅうと握り締める。
その様を黙って見ていた、雪男があることを思い出したかのように、今までとは違いニコリと笑い口を開いた。


「もし、迷惑かけてるって思うなら、僕の研究を手伝ってくれない?」

「えっ、研究?お、俺に出来るわけないだろうっ。そんなこと」

「別に難しいことじゃないんだ。ただ、データー整理というか、それに付き合って欲しい」

「でも、それなら別に俺じゃなくても…」

「『兄さんじゃないとダメなんだ』」


燐は、人恋しい性格なのに、今まで人に避けられて過ごしてきた。
それ故に、頼られると絶対に断られない。
まして、それが普段から色々と負い目を感じている弟からの頼みでは、断わることは絶対にない。
『兄さんじゃないとダメ』は魔法の言葉だ。
燐でないと、研究が出来ないのは事実だけれど、この魔法の言葉を使えば、燐は逃げることなく付き合ってくれる。


「仕方ないねぇなぁ。弟の頼みならっ」


こうして雪男は、ある研究のための滑降な実験道具を手に入れたのだった。





燐が一人でも課題を済ませれるように、たくさんヒントの書いた紙を残して雪男は研究室へと向かった。
その甲斐あって、燐は課題を一人で済ませることができ、再びベットに横になった時、雪男が戻ってきたのだった。


「課題終わらせれた?」

「ちゃんと終わらせたぜっ!」

「じゃぁ・・・実験を始めるよ」

「え、早速かよ?」


そういうと、雪男はベットで横になる燐の上に跨り、ゴムだけで腰に固定されている部屋着のスボンと下着を一気に勢いよく脱がした。


「ちょ、待っ・・雪男っ!」

「何?」

「何ってこんな…まだ、怒っているのかよっ」

「怒ってる?他に何か怒られるようなことした?」

「ヒャァンッ・・っちょ、ヒッ、くっ」


雪男の顔が目の前にあった為に、燐は油断をしていた。
まだ垂れ下がっているだけの燐のそこを、上に跨ったまま指を柔軟に動かして揉み解し始める。


「ちゃんと答えろよ、兄さん」

「あっ、し、してナイッ、やっ、痛ッ、ヤメッ」


何を急いでいるのかと、疑問を感じるほど雪男の手つきはいつも以上に性急で、燐は快感よりも肉を引っ張られる痛みを強く感じた。


「どうして?痛い方が気持ちいいくせに。ほら、いつもみたいに縋って逝き狂えよ」

「嫌ッ、離せっ、ヒィッ」

「暴れるなら、縛るよ?」


そう言うと雪男は、すばやく燐を後ろ向きに位置を変えて、燐よりも大きなその手で燐の手首を一つまとめにし、自身のベルトを一気に抜き取ると、燐の手首に絡めた。
しなりの少ない合皮のベルトでは、手首を拘束するのは難しく、力ずくで無理矢理縛り上げることは、される側の負担になる。

普段から雪男の趣向で拘束されたりすることは多々あるが、ここまで無理矢理にしてくる事は数える程しかなく、その時は事前に燐が怒らせるような何かをしていたりする。
今回は、確かに事前に怒らせていたけれど、解決したはずだ。
ここまで燐のペースを無視して進められるほど怒らせたような心当たりがなく、ただただ困惑し、怯えながらも必死に抵抗した。


「なに?まだ暴れるっていうの?手だけじゃ足りないなら脚も縛っちゃうよ?」

「嫌っ!な、なんで・・・」

「クスッ やっぱりいいね。兄さんの泣き顔。もっと泣かしたくなる」


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