手続き


カミュという青年に聖闘士になると宣言した次の日。
事態はもう動き始めていた。





「転校届けとか、パスポートとか…どうやっててにいれたの?」






知らせた覚えも、渡した覚えもない個人情報たちに思わず顔がひきつった。
カミュはあっさりと答える。







「すべてこちらで調べてそろえた。
聖域はいろいろと顔が利くからな。」





「なるほどね。
こうやって情報は流れてくのな。
恐ろしいことだね。」









皮肉に笑う私をみてカミュは笑いをこぼす。 
 









「なんだ?」




「いや、君は随分皮肉屋だと思っただけだ。」




「別に。事実だろうが。」







私は書類をひとしきり眺めたけれど
すぐに飽きて書類を机の上に投げた。










「それで、聖域にはいついくんだ?」





「明後日だ。
それまでにすべての支度をそろえなければならない。」





「ふうん。
それは大変だね。」







それにしても昨日別れてから今日の昼の時間までによくここまでそろえられたな…。









「親しい友に別れは告げなくて良いのか?」





「友?」








思わずは鼻で笑ってしまった。
友達とか、何それ。









「生憎、どうでも良い他人となれ合わない主義なんだ。
どうせ3日とたてば忘れる程度の仲だ、告げなくても変わらないしだるいからいいよ。」





「…そうか。」









カミュはそれ以上はなにも謂わずに私が投げた資料をとる。
目線をあげずに、カミュは口を開いた。









「聖闘士は、常に命の危険にさらされている。
そのときに友の支えは必ず必要だ。
それを忘れてはいけないぞ。」




「友、ねえ。」







窓の外を見る。
鳥が飛び回る昼さがり。
澄んだ空と、烏に反射した私の興味なさげな顔を見えた。








「命懸けても惜しくない、って思える奴いたらいいけどな。」








どうせいないだろうけどさ。








「現れる。
絶対にな。」





「・・・ふうん。」







カミュの自信にあふれた声。
それは例の親友のことを言ってるのだろうか?
どちらにしても…自分にできるとは思えない。














「じゃあ、楽しみにしておくよ。」

















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