安全ってなんだっけ?


長い時間をかけて、アテナさんは聖戦について私に教えてくれた。
出来の悪い頭で内容を咀嚼して、何とか話を理解しようと努めた。


「分かりましたか、聖戦の事。」
「…分かりたくなかったけど、分かりました。」


真面目な顔で、嘘みたいな話をされるのは大分滑稽だった。
「嘘でしょ?」って、笑い飛ばしたかったけど、
それを出来るような不真面目な雰囲気じゃない。


「それで、私はこれからどうすれば…?」


その質問には、アテナさんではなくその近くに立っていた男性が答えた。


「はっきり言って、女神を宿したあなたを私共としても野放しにすることはできません。
 冥界の者共も、あなたの存在には気がついてるはずです」
「…」
「冥界の者共に襲撃される様なことが、これから先何度起こるか分かりかねます。」
「…嘘ですよね?」
「残念ながら」


…じゃあ、さっき童虎さんが言ったことは本当なんだ。
それって、私の身が危険ってことだよね。
不安で言葉が見つからず、無言でうつむいた私にアテナさんが優しく語りかけた。


「突然のことで不安でしょう。
 しかし、童虎は貴女を保護するためにここに連れてきました。
 ならばアテナとして全力であなたを保護いたします」

はっきりとしたアテナさんの言葉に隣に立っていた童虎さんも私の方を見て頷いた。


「安心せい。
 守ってやるからのう。」
「黄金聖闘士達に、あなたの護衛をさせましょう。
 だから、安心して下さい。サナエ様。」


「…はい」



確かに心強い言葉だったが、どうしても不安を取り除くことはできなかった。
こんな状況で、安心なんて出来るものなんですか…?









                 

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