「愚か者が…。」
あの聖戦からもう気が遠くなるほどの時間が経った。
「私を殺すのは、お前ではなかったのか…?」
もうあいつは決して帰ってくることがないほどの月日が流れた。
あいつが唯一破った、約束。
「お前を殺すのが、私の役目だったのに…。」
あの日と同じ、満月の夜。
隣には、誰もいない。
「もう一度、お前と酒を飲み交わしたかった…。」
見上げた空に、まぶしい満月の光。
星の光を薄めるほどの強い光。
「馬鹿ものが……。」
ー淡く、儚い星の光は、あの揺らめく炎を思い出させた。
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bkm