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「オウ。たまにはな。」







ぐいーっと大きく伸びをする光牙に、あたしはにやにやと笑いかけた。









「早起きすんのはいいけど、身だしなみくらい何とかしろよ。
ぼさぼさだよ?」





「いいだろ?どうせ整えたって後でぐしゃぐしゃになんだしよ。」






「あはは。
そりゃそうだね。」








不機嫌だった機嫌も少し上昇して、あたしはいつものように不敵に笑いながら教室へと入って行った。








―――







「なまえはどういう人が好み?」





「…はア?」








休み時間にそうは無しを振られた時、あたしは頬杖していた手がずれた。
今のあたし顔はかなり間抜けな顔をしている自信がある!







「…小町。
それって、異性って意味で?」





「うんっ!
なまえってすごい美人でしょ?
だからどういう人が好みなのか気になって!」





「…好み、ねえ?」








聖闘士って言っても女の子だもんなあ…。
浮かれた話くらいしたいもんだよね。
・・・あたしはしたことないけど。







「ぶっちゃけ、男はどうでもいいかも。
かわいい女の子の方が好きだし。」




「ぇえーー?
そうなの?」





「うん。
あたし、守ってあげたいタイプだからさぁ。
守るんならむさい男よりかわいい女の子守りたいッ!」






「じゃあ、龍峰君みたいな人とかは?」







いつのまにかあたしの周りに女子が集まってきて興味津々っていう風に聞いてきた。
うわ、めんどくさい。








「…龍峰ってあたしより強いから守るに守れないよ。」






「そうかしら?
私はなまえも龍峰と同じくらい強いと思うけど。」






「えー?
あたし肉弾戦苦手だから龍峰にかなわないよ。」









ユナの助けもあって、ここから徐々に話をずらそうとしたらそれを許さないように小町がさらに話を振ってきた。







「なまえ!
じゃあ理想の男の人は?
どんな人が理想なの!?」





「それってタイプと大して変わんないじゃん。」









・・・年頃の女の子の恋バナって恐ろしい…。
今すぐ逃げたい。
光牙!そこで笑ってないで助けに来いよおらぁ!!!



・・・なんて、みんなの手前言えないから脳内に浮かべたままの言葉を羅列していった。











「顔立ちは少し童顔だけどキリってしてて、
髪の色は明るい茶色で短髪。
背は高くて、細マッチョ。
どこか抜けてる頼りがいのある年上の男。」








そこまで自分で言ってみて、思わずとまった。
それって・・・あの人と同じ特徴じゃんか。








「…すごい、細かくない?」








周りのみんなも思わずとまってしまってる。
あたしはそんな空気を壊すために軽薄に笑った。









「だってさー、やっぱ男なら短髪は必須じゃね?
ゴリゴリした筋肉よりしなやかな筋肉の方が良いし!
それで童顔だったらさらにポイント高いよね!
ふわふわした毛並だったら最高にモフモフしたい!
そう!これぞあたしの男の理想形だ!」










びしっと決めるあたしにみんな笑った。








「なまえ細かすぎだよー!」




「流石美人さんは男にうるさいねぇ。」




「てか、そんな男の人本当にいるの?」




「ふふん!それを見つけてなんぼじゃね?
ちなみに細い腰ならなおよろし!」





「ちょ!笑かさないでよー!」








軽薄そうに笑うあたしを、ユナが少しあたしのことを探るような目をしていた。
それを察しながらあたしはあえて目を合わせずにニタニタと笑っていた。








「恋愛シチュレーションで言うなら、気が付いたら目が合うような恋なんていらないかな?
淡い恋なんて、興味もわかないしさ。
恋するなら…燃え上がるような激情の恋の方が燃えるぜ!」






「ほんと細かすぎーー!」








ケタケタと笑う皆に合わせて笑いながら、あたしはふっと彼のことを思い出す。
あの人は…結局あたしのことを見てくれなかったな。





なんて、自嘲気味に笑った時光牙と目があった。
光牙はきょとん、と不思議そうな顔であたしを見ていた。





なんでだろう。
光牙の顔を見ていられない。






どうしてこんなにも胸が…あの時みたいにまるで恋してるみた・・・!?












「関係ないよッ!だって…」








あぁ、腹が立つ!



そんなわけないのに!!!









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bkm
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