ガキィンッ






鈍い音が響く。
ガチガチと刃と傘が当たる。
藤木と眼帯の青年を中心にブワリと風圧が起こる。





「Aah?誰だ、アンタ。」
「あたし?あたしは自由気まま、今を時めく女子高生!
名前はまあ…通りすがりAってでもしとこっか。」
「わけわかんねえことを…ッ!」
ぎりぎりと均衡状態がカァンッと途切れる。
一歩距離と老いた二人がにらみ合った。


「あんたがうしゅうのきつね?
あたし個人的には恨みはないんだけどさ、ちょーっち痛い目見てもらうよっ!」
「…?
おい、あんたなんか勘違いして…!?」
「もんどーむようってね!」


ガィンッ
ガキンッ

己の武器をぶつからせ、
キラキラと輝く笑顔を浮かべる藤木。
最初こそは戸惑っていた青年だったが、そのうち藤木のテンションに飲まれてきたのか、だんだんと口角を上げた。

「All right!
あんたがどこの誰かが知らねえ!
だが!来た以上は全力で当たらせてもらうぜ!!!」
「上等ッ!
うしゅうのきつね!どっからでもかかってきんしゃい!」


青年の体から青い雷が発せられる。
藤木は少しだけ驚いたように目を大きくさせたが、すぐに楽しそうな笑いを浮かべる。


「なんかよく分かんないけど、楽しそうなのだしてんね!お兄さん!」
「HA!あんたこそすごい良いもん持ってんじゃねえか…よ!」


青年の雷撃が藤木に放たれる。
藤木はそれを避けると傘をブオンッと振った。
それと同時に巻き起こる竜巻。
青年はそれを避けると興味深そうに口角を上げた。


「hun…あんたの属性は風か」
「おお、何かでたな今!」


「い、今のまさか属性!?藤木も使えるようになったの!?」


出来る限りは慣れて二人の戦いを見ていたゆきが驚いた顔を浮かべた。
まさか自分の親友が属性に目覚めるなんて思ってもみなかった。
だんだん親友が人間離れしていっているように感じるのは気のせいだろうか、と少し遠い目をした。



「ていうか…藤木!
あんた闘う人間違えてる…!」





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