05/23 20:18
あいも結晶もあなたのままに


グラハウ
あいも結晶もあなたのままに
謎の転生パロ/現パロ/メリバ→ハッピーエンド/死ネタを挟みます


 わがまま。
「我儘だったんだ。きっと、一緒にいるということが」
 幻影の男が言った。その姿は朧げだったが、どんな色を持つかは分かった。透き通るような金髪、真白な肌。純白の衣装は、その仕事故だとオレは知っていた。
「だからどうか」
 次こそはと、言った男のその言葉は、オレに向けていたのか、それとも。

 そして眼下に広がったのは青い海だった。

「グラジオー!」
 朝だよ、とオレの肩を少年が揺さぶった。むくりと起き上がれば、褐色肌の少年はにこりと笑った。
「やっと起きたー朝ごはんできてるよー」
 よいしょとハウは立ち上がり、部屋を出て行った。
 父に経験を積んでおいでと背中を押されて、オレは山と海ばかりの小さな町に、国内ながらの留学という体でやって来ていた。期限は心配性の母が決めた一年。オレはその一年だけ、ハウの家に下宿しているわけだ。
 ハウの両親は街に働きに出ていて、祖父は町役場で役員を仕切っているらしい。いつかの夕飯時に、大したことじゃありませんよと、ハウの祖父であるハラさんは笑っていた。
 朝食はハラさんとハウが毎朝作っている。手伝いを申し出たこともあったが、朝弱いみたいだからグラジオは夕飯の手伝いで我慢してねと言われてしまった。

 学校へ着く。小さな町の小学校と中学校は同じ校舎を使っている。しかも離れた学年が、同じ教室の前と後ろを使って授業を受けるのだ。後方で中学二年生の授業を受けながらグラジオは、前方で小学五年生の授業を受けるハウを思った。


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