こばなし

思いつき小話をだらだら。えろぐろが飛び出すかもしれないし飛び出さないかもしれない。文章を読み直さない一発書きとか没話とかばっかりです。更新履歴にはのりません。



>>2011/01/18-21:36

(帝←青)









眠る貴方の顔を見つめる。規則正しい寝息と時折揺れる睫毛。いつもならばあり得ない至近距離に彼がいる。触れたい、触れたくてたまらなかった先輩、帝人先輩。


触っても、いいですか


声に出さずに尋ねる。当たり前だが返事はなく、先輩はただ深く息を吐いただけだった。

今では俺がこの人の一番近くにいる人間だと自負している。だというのに先輩は遠い、どこにいるかわからない黄巾賊の将軍よりもずっとずっと。それが嫌で悔しくて苦しくて、近づきたくて。



(隙間を埋めてみたくて)



ほんの一瞬だけ重なった唇の感触に、涙が出そうになった。







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thanx:確かに恋だった


>>2010/12/20-10:05

(帝人と臨也と仔犬)









公園で見知った姿を発見し、足を止めた。ベンチに腰掛けた彼の足元には野良と思しき仔犬がじゃれついている。彼はそれを笑顔で可愛がるでもなく、かといって突き放すでもなくぼんやり見ていた。

「やあ、帝人君」

声をかけるとゆっくりと頭が動き、視線が俺を捉える。

「こんにちは」
「…君の犬、じゃないよね」
「捨てられたみたいです」

帝人君が指差したベンチの下には薄汚れた段ボール箱が置いてあった。成る程これに入っていたのか。

「犬は好き?」
「ええ、好きですよ」

即答だ。その割にはちぎれんばかりに尻尾を振る仔犬を見る目に好意など感じられないけれど。
俺がしゃがみこむと、仔犬はちらりとこっちを見たが帝人君の足から離れる様子はない。幼い獣の瞳には警戒の色が浮かんでいた。

「…嫌われてるみたいだ」
「臨也さん、動物に好かれそうにないですよね、人間も含めて」
「悲しいなあ」
「心にもないことを」

毛むくじゃらの小さな体に手を伸ばして無理矢理撫でると仔犬はびくりと震えて更に離れていった。帝人君が肩を揺らし、少し笑ったのがわかる。

「だめですよ臨也さん」

帝人君が手を差し出すと、仔犬はころりと態度を変え、その両手に収まった。そのまま抱き上げて膝の上に乗せる。仔犬は彼にされるがまま随分大人しく、俺は今ならばともう一度触れようと試みた。


「だめですよ、僕の犬に触らないでください」


突き刺すように冷たい声色。その目には愛らしい仔犬の姿など映ってはいない。彼に抱かれたそれが不安げに、くぅんと鳴いた。

「…君の犬に手を出すつもりはないけど」

彼の忠犬を思い浮かべ薄く笑うと、それならいいんですよと帝人君も小さく微笑んだ。






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>>2010/12/18-09:49

(ブルスクと帝人)








「俺らはさ、リーダー」

青いバンダナを腕に巻いた少年、いや、青年というかもしれない彼は僕を見据えながらぽつりと呟く。

「あんたのことは嫌いじゃねえよ。多少頭ぶっ飛んでるとは思うけど、」
「そうかな」

僕の目には彼らの方が何を考えているのかわからなくて不思議な人達に見える。僕なんて平凡を絵に描いたような人間だと思うのだけど彼らからは「ぶっ飛んでいる」ように見えるのだろうか。

「でも、青葉は別だ」

この場にいない後輩の名前が出る。青葉君は確か、ああそうだ、今日は家の用事があるから来ないんだ。電話ですごく謝ってたっけ。

「あいつがあんたのことを俺らのリーダーにして、あいつがあんたに従うから、俺らもそうする。けどもしもこの先青葉が、あんたから離れるようなことがあれば、俺らはあんたを見放すよ」

彼の言葉をしばらく反芻し、そっか、と返す。
脅しでもなんでもなく、そうなれば彼らは何の躊躇もなく僕を切り捨てるのだろう。あるいは、青葉君が僕を消せというのならそれすらもやってのける、彼らが言っているのはそういうことだ。

「青葉君は、愛されてるんだね」

羨ましいわけじゃない。ただ、安心した。青葉君が僕に向ける好意と同じものを僕は与えてはあげられないから。だから、青葉君が誰かに愛されているのならそれで僕は許される気がしたのだ。


「あんたじゃなきゃ意味ねえんだよ」


彼の独り言を、僕は聞こえないふりをした。






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>>2010/09/26-11:32

(ろち青/帝←青)








駄犬だな、と思う。あの人に忠誠を誓っておきながら浅ましい欲をあの人以外の他人で満たしているのだから。

「…っ、あ、あんた、って…男とヤる程、飢えてんです、かっ…」
「いや?まあ、お前黙ってれば可愛い顔してるし、妊娠しねー、し」
「ひ、あっ…」

最低だこいつ。

違う、本当に最低なのは、

「大体、お前が誘ってきたんだろーが」

俺だ。

あの人に愛されない淋しさを悔しさを虚しさを悲しさを他人で埋めて、愛しさと劣情と悦びと充足感を誤魔化して。

「泣くなよ」
「泣いて、ません」

優しくしないで、あの人は俺に優しくなんかないから。
涙を拭いとらないで、あの人は俺を傷つけるだけだから。
微笑みかけないで、あの人がくれるのは嘲りだけだから。

「…お前さ、俺んとこ来いよ」
「いやですよ、」
「なんで」
「駄犬にだって、優先順位があります、」

どんなに傷つけられようとどんなに嘲られようとどんなに愛されなかろうと、





(俺が心の底から愛しているのはあの人だけ)






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>>2010/09/21-07:05

(♀帝青のつもりだけど青帝♀かな…)









「ね、先輩、ゴムなしでやりましょうよ」
「…外に出すの?」
「いいえ?」
「やだよ、妊娠したらどうするの」

すればいいじゃないですか、そう言うと俺に跨っていた先輩は目を細めて小さな声で、しねばいいのにと漏らした。それはひどい。俺はいつもあなたの言いなりなのだから、たまには俺の願いを聞いてくれたっていいだろうに。

「生なんて気持ち悪い、無理。大体僕は男なんか嫌いだし」

それは何回も聞いた。じゃあどうしてあなたは処女じゃなかったのですかと尋ねたら、硬いローファーを履いた足で何度も踏みつけ蹴り飛ばされた挙げ句、見知らぬ男に売られそうになったので泣いて縋って謝ったのは割と最近の記憶だ。

男嫌いというこの人がなぜ俺とこういうことをするのかと言うとそれは簡単なこと、

「青葉君の顔、可愛くて好きだから」

だそうだ。それを聞いたときに俺は生まれて初めて両親に、この顔に産んでくれたことを感謝した。言ってしまえば好きなところは顔だけだということだけどそれでもいい。もしもこの先俺以外に、先輩が『好きな顔』の人物が現れたなら俺は迷わずそいつを殺すのだろう。



「先輩、好き」
「僕も好きだよ、君の顔」







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