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連絡は敵対している他地域のチームがここ最近この学校周辺で彷徨いている為各自警戒するように、との事だった。軽く忘れ掛けていたけれどそういえばこれ不良チームの集まりでしたね。あまりそういう類の話は聞かないから本気で忘れるとこだった。


……てか、何それフラグ?かくっじつに幼馴染に何か起こるよね。絶対。只でさえ妙な事に巻き込まれる幼馴染。今回は不良チーム総長の恋人と言う付加作用付き。うん。何も無い訳が無い。


帰りは大抵総長さんが付いているが行きは家が逆方向な為、近い所に住んでいる下っ端さんが送るようになる事。絶対学校外でチームの誰も傍にいないなんていう状態にならない事を総長さんが真剣に幼馴染に言い聞かす。幼馴染も流石に危険なのは分かっているようで渋々ながら大人しく頷いてお願いしますと頭を下げた。
それでも何かあるんだろうなぁ、とぼんやり考えているとねぇ、と声を掛けられる。


「キミも、なんかあったらすぐ連絡してね」

「ハプニング回避率高いんで俺は大丈夫ですよ」

「それでも。わかんないでしょ」


苦笑しながらそちらへ顔を向けると、軽い口調に反して目は真っ直ぐこちらを見ていて、戸惑った。


「心配してくれてるんですか?」

「あたりまえじゃん」


茶化すように言ったのにさも当然のように返されて、困る。
トラブル体質な幼馴染の傍に幼い頃からずっといて、なのに今まで殆ど被害らしい被害を受けた事の無い俺は親からもこいつは大丈夫だと太鼓判を押されていて。要するにこんな風に心配された事が殆ど無いのだ。だからどう反応すれば良いのか、分からない。


「……分かりました」

「うん」


のろのろと頭を下げるといいコいいコと言って頭をポスポス叩かれた。ちょっとイラッとして睨み上げればニヤニヤとした目。余計に腹が立ってペシッと乗せられた手をはたきまた幼馴染達の方へ眼を向ける。まだぎくしゃくしながらも喋る二人。見守る周囲。変わらない様子に変わらない風景。

それらを眺めてぼーっとしていれば一瞬起きた胸のざわめきも凪いでまた元通り。横に置いていたペットボトルを持ち上げて蓋を開けると、同じように前を見たまま副総長さんが口を開いた。


「ねぇ、……メガネくん」

「……はい、何ですか。副総長さん」

「…………」

「…………」


声を掛けたにも関わらず何も言わずに黙る副総長さん。それに何の突っ込みを入れる事無くお茶を飲む俺。言いたい事など、呼びたいものなど、何もありません。えぇ。ありませんとも。


そのままお互い何も喋らずに座っていれば、バシバシ届く離れた所からの何か言いたげな視線。うるせぇ黙ってろ。
そちらを見ることもせず手の中のペットボトルを遊ばせていれば昼休みも終わる時間になった。重い腰を上げ出口へ向かう。出る寸前見上げた空は、厚い雲に覆い隠されていた。






教室への帰り道、これからの幼馴染の対処を考える。爆発寸前の総長さんとの事も気を付けなきゃならんのに更に巻き込まれ対策もやらなきゃならんのか。あーもうマジめんどい。
席に着き教科書を取り出してその上に突っ伏した。チャイムが鳴り教師が入ってきた所で顔を上げてノートを開くが今は先にこっちを考えてしまう事にする。どうしようもないけれど、今は授業が頭に入る気がしない。

板書だけノートに書き写してつらつらと取り留めもなく作戦を端の方に書き連ねる。時折副総長さんとの会話が過って思考が止まってはまた手を動かす。
何度目かの停止で、持っていたシャープペンを下ろした。


「…………」


どうすれば、良いんだろうか。


頭の中で幼馴染達のこれからを考えながら、もやりと疼いた胸をそっと押さえた。





注意事項
どう考えてもフラグです




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傍観者
番外編,2,3
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