手伝いましょうか、なんて言ってしまった数時間前の自分をひっぱたいてやりたい。
お陰でここぞとばかりに仕事を押し付けられて、がっつり残業。
今週ずっと忙しかったのもあって、精神的にも体力的にももうヘトヘトだ。
長期の国外任務に行っていたスティーブが明日帰ってくるから、今日のうちにアップルパイを焼こうと思ってたのに……。
ため息をつきながらトボトボ歩いていると、いつの間にかアパートは目の前だった。
夕飯どうしよう、冷蔵庫なにが残ってたっけ。そんなことを考えながら、重い足取りで階段を上っていく。
自分の部屋の前まで来て鍵を出そうと鞄を漁っていると、ドアがひとりでに開いた。
「おかえりナマエ」
手に持った合鍵を見せながら微笑むスティーブが、ドアの向こうに立っていた。
さっきまでの重い足取りが嘘のように勢いよく彼の胸に飛び込むと、逞しい腕にぎゅっと抱きしめられる。
「おかえりなさい! 明日じゃなかったの?」
「予定より早く片付いたんだ。連絡しなくてごめん」
ナマエを驚かそうと思って、と言うスティーブに思わずもう一度ぎゅっと抱きつくと、さらに強い力で再び抱き返された。
厚い胸板に押し付けられてちょっと苦しいけど、今はそれさえも幸せで。
「残業だったんだろう? お疲れさま」
よしよし、と頭を撫でられ、部屋の奥へと導かれる。
たどり着いたダイニングテーブルには、パスタやスープ、サラダが並んでいた。
「これ……」
「勝手にキッチンを使ってごめんね。でもナマエはいつも僕に美味しい料理を作ってくれるだろう? だから僕も、お返ししたくて」
この人は、どうしてこんなに嬉しいことばかり言ってくれるんだろう。
わたしなんかより、スティーブの方が疲れてるはずなのに……。
ぼうっとテーブルの料理を眺めていると、スティーブが不安そうに顔を覗きこんできた。
「…余計だった、かな?」
「そ、そんなことない! むしろ嬉しい!」
「良かった……でもナマエみたいに上手じゃないから、味の保証はできないよ?」
スティーブはそう言うけど、以前うちで一緒に料理したときの手際の良さから、彼が料理上手なのは容易に想像できる。
目の前に並んでいるごちそうだって、どれも本当に美味しそう。
鼻腔をくすぐる香りに刺激され、きゅるる、とお腹の虫が鳴いた。
それを聞いてくつくつと笑いながら、わたしの頬にキスを落とすスティーブ。
「さぁ、食べよう。僕もお腹が空いたよ」
溢れんばかりの愛情で
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ミリアラン様、リクエストありがとうございます!遅くなってしまってすみません! こんな感じでいかがでしょうか?駄文で申し訳ないです…! この度は企画にご参加いただき、ありがとうございました!
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