二十二 | ナノ




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テスト二週間前。



「指名制なのよ」
「しめいせい」

朝、校門の前で偶然しのぶ先輩に会った。

「よくわからないけど…ほら風紀委員って規則とか伝統とか重んじるじゃない。開校当初から存続する伝統で、現委員長が次期委員長を指名するしきたりなんですって。昔はもっと、みんなと違う長い学生服着て校門に並んで立ったり、朝礼の時も横にずらっと並んで生徒監視したりしていたらしいわよ」
「それってなんか風紀委員とは違う気が……」

どう考えてもそれガラの悪い人たちの組ではないか。

「今じゃ時代錯誤よね。とにかく、その指名制システムだけは今も残ってるの。だから」

しのぶ先輩が僕をみて笑いかけた。

「あたるくんに言われたなら純ちゃんが次の委員長だわ」
「でも、僕やるって言ってません。それに来年でも2年生だし……」
「学年は関係ないじゃない。実際2年で委員等やってた人もいたし。でも、純ちゃんがやりたくなかったら無理はしなくていいのよ」
「やりたくないとかじゃないんですけど」

二の句が継げず言葉を濁す。
来年になったらしのぶ先輩もいない。
あの部屋で僕が委員長をやるなんて……想像がつかないや。

「え、じゃあ、今の委員長も前の委員長に指名されたってことですか?」
「もちろん」
「まさかそんな……。奇特な……人もいるんですね……」

本当よね、としのぶ先輩は笑った。
ちょうどそこで、昇降口の分かれ道だった。

「あまり考えすぎないで。委員長って言ったってたいしたものじゃないわ、あたるくんでもできるんだもん」
「できてないから今予算削減の危機じゃないですかあ」

とにかく、またね。明日の放課後よろしくね。
そう言って前にいたご友人と思しき上級生達に混じって行ってしまった。

はあ、しのぶ先輩、他人事だと思ってる。(そりゃ他人事だけど)
それにしても、あの諸星先輩を風紀委員長にしようだなんて一体誰が考えるんだ。引き受けた先輩も先輩だと思う。
前にしのぶ先輩も言ってたけど、どこからどうみても、風紀委員なんてガラじゃないのに。




















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