森と君と | ナノ
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 9.寄り添うように舞い降りる


「……ここは、立ち入り禁止のはずです」

「きみも、だね?」

「……はい、ですが──」

 眼鏡の男の手が伸びた。

「ところで、その耳は、もしや──」


頭に触れられそうになり、思わず飛び退く。それは、人間的なものとは言い難い、素早い動きだった。

「あなたには関係ありません」


「……なるほど」

男はなにかに関心すると、手を引っ込め、セイに近づいてくる。もう一人の、背の高い男が、服の内側に入れていた小さな本を出し、目の前の少年と見比べて頷いた。

「間違いない。これは、かつて存在した獣種の生き残りだ。とうとう見つけた」

まずい。
本能的に、このままでは危ないと悟り、急いで駆け出す。


 男たちは、少しも躊躇わず、その背中になにか発砲した。それは、セイが走るスピードに簡単に追い付き、背中の肉を抉る。

何か音がしたと思ったときには、既に背中への激痛が激しく、振り向く余裕さえもはやなかった。


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