森と君と | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

 7.私の終わりはあなた



収穫祭の朝は、騒がしかった。
シャンシャンと鈴が鳴り、笛の音が、国歌らしき歌を奏でる。

昨日は結局、カフェの裏にある部屋で休養をとって、誰も自宅の方には帰らなかった。
この辺りにいれば、パレードが通る辺りに近いようで、否応なしにざわめく様子がよく聞こえる。

昔はこの時期、聞こえる音が変わったことなど、あまり気にしたことがなかったが、なるほどこれの音だったか、とセイは納得した。

「うう──腕に付けるヒラヒラしたやつ、邪魔……」

「れっきとした衣装なんだから、ちゃんと付けないと。これはこれで、楽しいよ?」

母が自宅の箪笥の奥から、衣装を持ち出してきたことに驚いた。祭りで着るものだから、と渡されて、今、ドゥロロと二人でそれを身に付けようとしている。
布から顔を出しながら、セイはふと、フレネザのことを思い出した。

変わり果てた彼女は、今も部屋の片隅にいる。
病院として使われてきた施設に預けると、処分対象だ、と聞かされたので、そうするしかなかった。
先ほど、小さめのコップで水を渡して来たところだ。

セイには、昨日の記憶が半分くらいしかない。気が付いたら気を失っていて、布団の中に居た。布団の中には、なぜかいくらかの葉っぱも紛れていて、不思議に思いながら左足を見た。

そこで、そういえば左足が森の水に触れたことを思い出す。あわてて足を確認して、驚いた。いつから、馴染んでいたのか、左足があんなことになったなどと思えない使い心地で、見た目も、人肌と区別が付かなくなっていたのだ。

やはり、気のせいだったのかとほっとして、自らの髪に触れた。二つ、際立って柔らかな感触がある。夢ではないらしいと、密かにため息をついた。

明け方、急にドゥロロが寝ていた部屋に押し掛けてきて、さきほどまでの流れだ。

prev / next




##amz_B00LIQQAI6#S#