森と君と | ナノ
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 6.蒼い水を溶いた花



「あのおまつり。ぼくも調べたけれど、昔は、ある儀式が主だったらしいんだよ。今は、形だけみたいだけどね」

先ほどまで、ドゥロロが言っていた。今は、どこかに出掛けている。戻って来るときに、彼女がここにいる、と告げられ、わかれたので、何をしているかは不明だ。

「儀式?」

「うん。歌があったり……まあ、いろいろと。でも、力が有るものが居なくなったか何かで、今は無くなってる」

その、今では娯楽が主と成り代わった祭に参加しよう、というのが、セイを追いかけてきたドゥロロの話だった。ちなみに帽子は、森から出て、一旦部屋に戻って身に付けてきたものだ。
(少し、耳を庇うには窮屈そうなベージュのキャスケットしか見つからなかったので、それにした)

「……なに、それ」

「でも、実際のところ、そういうことじゃなくて、何かがあったから、やめたんだと思う」

「……えっと、そうじゃない。それで、その儀式は、何だ、お前が、求めているものか? ぼくも参加することに、意味が?」

ドゥロロは、それには答えない。そうそう、と思い出したことを口にする。

「さっき、帽子を取りに行ってもらったけど、耳を、……特に、大人に見せちゃいけないよ」


突然、話が変わった。
少し、セイは戸惑って、さりげなく帽子を掴んだ。
大丈夫、ちゃんとある。

「……驚く、から?」

「違う。陰性だと思われていたものが、今になって陽性になったと知れたら、また、きみは、閉じ込められる」

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