そこは御愛嬌。 | ナノ






「えー、それでは次に、校長先生の話です」


まあいろいろあったけど冬休みも終わり、三学期が始まろうとしている。短かったなあ、冬休み。なんて思いながら正直つまらない校長の話を聞いていると、瞼が自然と閉じていく。ああ、多分昨日遅くまで仁王と電話なんかしてたからだな。
私と仁王の電話は口数が少ない同士な割には長電話で、その内容は大体仁王の詐欺に関することだったりする。この詐欺を仕掛けるには誰がいいだの、決行はいつどこがいいだの、端から見れば下らないようなことでも真剣に話す仁王が面白くて、つい遅くまで付き合ってしまう。あと他のみんなは誰も何も知らないのに、自分だけ全部知ってるっていうのも何だか愉快で。

昨日の話では今日の部活で赤也に仕掛けるらしい。詐欺というよりは小学生のいたずらレベルのものだけど、以外と準備には時間がかかるもので、ふと見れば隣のクラスの列に並んでいるはずの仁王がいなかった。始業式を抜け出してまで詐欺に全力をかけるんだから、あいつも意外と子どもなのだ。

そしてそれに引っかかって悲鳴を上げる赤也と、真田に怒られる仁王を頭に浮かべながら、私は誰にも気付かれないように少しだけ笑った。


 


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