ネタ会話文 | ナノ






201008〜




初めは良い獲物程度にしか考えとらんかった。じゃけど俺が見つけ出したそいつは、彼女は、意外にも賢くて鋭い目をして俺のトリックを見破る。何度も、何度も、しつこく罠にかけようとしたんに、彼女はその度に俺の罠をいとも簡単に見破って。



「どうしてあたしに意地悪するの?」

「意地悪しとるつもりはないぜよ。ただ、」



遊んでるだけ。
そんな異常で非情な言葉を伝えようと開けられた俺の口は、彼女の不思議で奇妙でそれでいて美しい笑顔によって動きを停めた。「…何じゃ、その笑顔は。」数秒置いてやっと紡がれたその言葉に彼女はまた微笑む。



「意地悪じゃないんだったら好意があるってこと?」



…まさか、そんなはずはない。この俺が誰かを好きになるなんて、そんなことは今までなかった。じゃからって否定出来んっちゅーことが、もしかしたら“恋”しとる証拠なのかもしれんのぅ。
そう思えば異常なくらい笑えてきて、おかしくて、おかしくて、狂いそうじゃった。俺が見つけ出したはずの獲物は、完全な詐欺師で。つまりそれに恋した俺は、自分で自分を陥れてしもうたということか。



河童の川流れ


拍手](201008.闇†風)







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