アイシカタ
「………何しやがんでィ。」
「ごめん、何か…気分で。」
どんな気分になったら人がアイマスク付けて寝てるところに忍び寄って、アイマスクをパチンッてやるんだよ。パチンッて。ちくしょー、地味にいてぇ。
目の辺りを擦りながら名無しさんの胸元を鷲掴みにする。口角が尋常じゃないくらいに上がってるのは気のせいだ、絶対に気のせいだ、つーか気のせいって言え。
「あれ、総悟?ねぇ、総悟ってば聞いてる?聞こえてるよね?絶対に聞こえてるよね?」
「聞こえねぇや。」
「テメェ殺すぞコルァァァァ!」
「はっ」
「鼻で笑われた!何かムカつく!」
名無しさんが悪いんだぜィ。俺がのんびり寝てるところを邪魔しやがって、睡眠妨害をした罰を受けるべきだろィ、なぁ名無しさん?
言えば、名無しさんは声にならないような悲鳴を上げる。そう簡単には逃げれないとわかっているんだろうけど、必死にもがいている名無しさんは可愛い。俺の本能がもっと名無しさんを困らせてやれと言っている………はず、多分。
「キスで窒素するのと土方スペシャル食うのどっちが良いか決めろィ。」
「ど、どっちも“死”に繋がってるんだけど!でも、あ、あたしは……ひじ、」
「その名前出したら殺す。」
「えぇぇぇ!」
俺が優しく2つの選択肢を与えるわけがない。答えはいつでも1つだけだ。
掴んでいた胸ぐらを強引に引き寄せて、俺はこれでもかってくらい長い長いキスをした。俺を叩いて必死に離れようとする名無しさんも愛しくて、唇を離しても手を離せなかったのは、きっと名無しさんが思う以上に俺が名無しさんを愛してるからだと思う。
「愛してる。」
アイシカタ
(トシ、アイツらまたキスしてるんですけど!ムカつくんですけどォォォォォ!)
(放っときましょうや。)
(あ、ゴリラと土方コノヤロー。見てたんですかィ?すいやせんね、イチャイチャしちまって。)
((総悟コノヤロー………殺す。いつかぜってー殺す!))
(と、トシ堪えろ!)
(110305)
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