02
苦難です、苦難
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「「…は?」」

耳を疑った。
今医者はなんといった?五ヶ月?
女でもあるまいし…いや、今は女だった。

ぐるぐる考えているうちに、安心する香りでいっぱいになったと思ったら古泉に抱きしめられていた。

「…っ」

ふるふる小さく震えている古泉。
どうしたのかと顔をあげたら、その顔は嬉しいような、困ったような、なんとも複雑な表情をしていた。

こうして俺の体調不良の原因は解明され、急遽長門が呼び出される羽目になった。

多少なりとも喜んでくれるのか、と思った矢先に古泉がとった行動が、長門を呼び出す作業だったために、俺は今何とも言えない気持ちだ。
確かに、子供ができるとなればお金もいる、場所もいる。と中々大変なことも多いが、なにもそこまで否定しなくても…と母性本能が強くなったのか、そんなことを思い頭の片隅で古泉を疑い始めた頃。
ようやく奴は本音かどうかわからない言葉を俺にぶつけてきたのだった。

「…嬉しいです」
「あまり嬉しくなさげに見えるのは俺の勘違いか?」
「そ、そんなこと…っ」

悔しげに顔を歪める古泉。
何をそんなに抱え込んでいるんだ?嫌なら嫌といえばいい。
俺は、この子を手放すつもりはないし、お前が嫌というならこの子とともに出て行ってやるぐらいの覚悟はある。お前が嫌いでも俺は、お前との子が嬉しいし、産んで大事に大事に育ててやりたいと考えてる。
そう伝えようと口を開いた瞬間。
そう、瞬間、だった。

「お久しぶりね?元気だった、キョンくん?」

車から降りて、自宅に戻ろうとしていた俺の身体が少しだけ宙に浮いた。
そして、背後から聞こえるのは、もうずいぶん前に聞いたっきりの懐かしい声と、首元に当たる冷たい物体。

「キョンくんっ!」

古泉の痛いほどの声が響き、瞬間。

俺の意識はブラックアウトしたのだった。


   

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