最近確実に彼女が冷たい気がする。

冷たいと言うより相手にされていないと言う方が正しいのか、それさえも分からなくなってしまった
部活が大変だが僕は彼女との時間を十分に作っていたし毎日メールして電話もしてデートだって1週間に1日は必ずしている


こんなにも彼女に尽くしているのに不満でもあるのだろうか


考えれば考える程嫌な妄想ばかりが僕の脳裏を侵食してゆく




元から彼女は男女関係無く評判が良くていつも輪の中に居た。そこら辺の頭の悪い女と違って無理に媚びたり甲高い声を発したりしない良く出来た女性だ

徒然考えてみればそんな彼女と誰からも気付かれない僕が釣り合う筈もない


それに最近はよく彼女の口から『高尾くん』と言うワードをよく耳にする



もしかしたら彼女は僕から高尾くんに乗り換える気なのだろうか。




だとしたら、どうしても阻止せねば





彼女は優しいから僕が自虐行為をしたら心配していつも付き添ってくれるだろうか

机から錆びたカッターを引きずり出してカチカチと刃を出した
自虐行為はした事無いがこれで彼女がまた手に入ると思えば躊躇などない。痛みさえも快感だ


僕は遠慮なく透き通る様な自分の白い手首にカッターの刃を力を込めて添えた


痛みなどなかった。
頭の中には彼女のことしかない

手首からは溢れ出る鮮血。僕は包帯を探して鮮血の上から白い包帯を巻いた
案の定、包帯には血が滲み痛々しい



それでも何か物足りない気がする
もっと、もっと、もっと、なまえさんの気を引かないと

僕は情緒不安定に陥り、救急箱から精神安定剤を調達し残り少ないそれを一気に構内に流し込んだ







『黒子くん?……なんか凄い顔色悪いけどどうしたの?』




学校に足を運んで席についた途端、案の定彼女は僕に食いついた
昨日飲み干した精神安定剤のせいだろうか激しい頭痛が止まない
だが彼女の心配そうな顔を見ただけで全て吹っ飛んだ




「いえ、何もありませんよ」




わざと素っ気なく返した




『ねえ、…………その腕』




なまえさんは僕の左手首に視線を落とす。
嗚呼、やっと気付いてくれた
何かよく分からない感情に包まれた




『……どうしたの?何か嫌な事あったの?』

「はい。ありました」

『どうしたの?私に相談してよ』

「最近なまえさん冷たいですよね。それによく『高尾くん』と言うワードを耳にします。僕は捨てられるんですか?こんなに愛してるのに?だからなまえさんに捨てられる位なら死んだ方がマシだと思っただけです」





彼女は鳩が豆鉄砲を食らった様な顔をして僕を見つめてる

僕は彼女の耳元で囁いた



























(僕を生かすも殺すも、それは貴女次第なんです)



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