ヴァンパイア×2



「Hey、坂田!てめぇ何人の仮装の真似してんだよ」
「それはこっちの台詞だコノヤロー。吸血鬼だなんてオーソドックスなコスプレ選んじゃってくれちゃってェ、ちったぁ頭捻った珍しいコスプレしたらどうですかァ?」
「はぁ?!そのオーソドックスなcostume着てやがるのはアンタも同じだろうが!Shit!!アンタもしかして、honeyの血を狙ってんじゃねぇだろうな?!」
「べ、べべべつにー?お前の血が欲しい……でエロDVDみたいな展開を期待なんてしてねェからァー?!」
「めちゃくちゃしてんじゃねぇかぁっ?!」

目の前で繰り広げられている政宗さんと銀さんのそんなやり取りを生温かい眼差しで見つめていた。
……菊ちゃんたちが出掛けていて不在だからって、お二人は一体何を言い争ってるんでしょうか。

「もう!政宗さん、銀さんっ!喧嘩はしないで飾り付けを手伝ってくださいっ」

買い出しにいっている菊ちゃんたちが帰ってくる前に飾り付けを終わらせないといけないのだ。

「お二人ともそれぞれ似合ってますから、ね?」

「……夢子」
「夢子ちゃん」

なんとか伝わったようだ。喧嘩を辞めたお二人にホッとしたのもつかの間、私はいつの間にか政宗さんと銀さんに腕を左右それぞれ掴まれたのです。

「……えっと?」

何故か無表情のお二人に困惑して首を傾げる。

「……こーゆーときどうしてんの、政宗くんは」
「欲望のままイッちまうかな」
「うわー最低ー政宗くんサイテー」
「ちっ、じゃあアンタは見てるだけにしろよ?ah,OK?」
「……それこそ冗談じゃねーぞコノヤロー」

「……え」

私を挟んでまた言い合いを始めたお二人をオロオロと眺めていたら、不意にお二人が私の耳をペロリと舐められた。

「ん……ぅあん」

耳が弱い。
つい変な声が出てしまって慌てて口を塞ぐが無駄だった。
するりと、お二人の手がそれぞれ腰や太腿を撫で始めたのだ。

「……やん、めぇ」

「……あーどうしよう。夢子ちゃん、これ銀さん止まらないかも」
「Ah,very cuteだぜ。honey」

「……何が止まらないって?坂田。そしてアンタの頭の中は相変わらずvery【A-HOU】だな、馬鹿宗ぇえ?」

吸血鬼の格好をしたお二人が私の肌を舐め始めた直後、帰ってきた菊ちゃんは背後に突風と雷を引き連れていたのでした。
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