独眼竜の旦那が思いの外阿呆でした



※佐助のみ変身の術で女体化します
※筆頭がアホの子



「……honeyは今から湯浴みか」
「みたいだねぇ」

菊チャンと桐谷サンにこき使われて疲労した身体を休めていたら、竜の旦那が湯浴み準備をして廊下を歩いていた夢子ちゃんを見つけてポツリと漏らした。
俺様も何も考えずそれに頷いてみたけど、ふっとある考えが浮かび目を細める。

ここ最近、夢子ちゃんとまともに会話なんかできてないし、彼女に触れたのはもうだいぶ前だ。それもあの頭をよしよしと撫でただけ。

「……俺様、いいこと思いついちゃった」

「Ah?おい、猿。てめぇ顔に不埒なこと考えてますって書いてあるぜ?」

「あはー、常時そんな顔してる旦那だけには言われたくないねー」

「What?!」

何やら竜の旦那がイラッとしていたけど、今は無視である。
俺様、忙しいんだよね。夢子ちゃんとイチャイチャしなきゃだから。

菊チャンや大将、真田の旦那やその他旦那らがいないことを見計らって、気を集中させる。

「……ほいっと!……これでどうよ」

「な……!」

久し振りにこの術使うなぁなんてしんみりした。最後に使った時、たしかかすがに気持ち悪いとか罵倒されたんだよなぁ。

目の前で絶句している竜の旦那にニヤリと笑いかけてから、ひらひらと手を振ってやる。

「じゃ、旦那。指くわえて悔しがってていいからねぇ」

くねりと腰を揺らして、変化の術で女の身体に化けた俺は意気揚々と風呂場に向かっていったのだった。





「……夢子お嬢様」

「え?」

湯気が漂い、うっすらとぼやけている視界にクツリと喉が鳴る。
同時に戸惑ったような夢子ちゃんの返答に頬の筋肉が緩んだ。

「菊一サンから頼まれまして……お嬢様のお疲れを癒やすように、と」

「え、菊ちゃんが……?」

当たり前だが嘘八百である。
夢子ちゃんが冷静に考えを巡らせる時間を与えないために、俺様はするりと身体を洗っていた夢子ちゃんの背後に身を回した。
それから驚いている夢子ちゃんに微笑みながら、つぅっとその白い肌に指を這わせる。

「ん、……あ、あの?!」

「あはーじゃなくて……ふふ、ご心配なさらず、気を楽にして俺……私にお任せ下さいね?」

むにゅっと後ろから掴むように触れた夢子ちゃんの胸は、本当に柔らかくて気持ちがいい。
感触についふにふにと指を動かしてしまい、夢子ちゃんがぴくぴくと身をはねさせていた。
……あ、ヤバい。いくら術を使っていても下半身の部分が男に戻りそうだ。

「じ、自分で、あぅ、はらえますからぁ……」

息を吐き出しながら身をくねらせる夢子ちゃんに興奮が止まらなかった。
女に変身した体の上に薄いバスタオルを巻いているだけだったからか、密着すると、一部術が解けかけて頭を上げている部分が夢子ちゃんのお尻辺りに当たる。
バレる、と思った瞬間(バレてもそのままいっちゃおうと考えた時)、いきなり浴室の戸ががらっと音を立てて開いた。

「honey……否夢子お嬢様!私も猿子と一緒にお背中流しますっ」
「ぶっ」
「え、きゃあぁ?!」

そこに立っていたのは、中途半端に化粧を施した全裸の変態……という名の独眼竜の旦那だった。

盛大に吹き出した俺様と悲鳴をあげた夢子ちゃんはまったく悪くないと思うんだよね。

その後、びっくりしすぎて変身の術が解けた俺様とドヤ顔して鼻息を荒くしていた竜の旦那は、夢子ちゃんの悲鳴に駆けつけた菊チャンに殺されそうになったのだった。
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