50万筆頭祭 | ナノ

「……っ」

辛そうに表情を歪めた夢子の体をそっと抱き上げて、その場から移動する。

猿飛や片倉が驚いたような顔をしていたが、説明している暇はない。というより、あの者たちに説明などもしたくない。


「……あ、あの、小太郎さん、どうして」

「……、……(夢子、夢子のことならなんでもわかる)」

「う……」

唇を動かせば、夢子は真っ赤な顔で俯いた。

恥ずかしがる理由もわかる。
だが伝えたことは真実であり、夢子には常に誠実でありたい。

「……で、ですが、あの、本当に……これに関しては、大丈夫ですから……」

「……?(……嫌いになったか?)」

夢子の台詞に不安げに首を傾げれば、彼女は慌ててぶんぶんっと首を横に振った。

……あぁ、夢子はやはり愛らしい。

その夢子と恋仲になれたのだと思い出すだけで、優越感に浸れた。

だからこそ、俺は彼女の特別であり続けたいのだ。

「……(夢子)」

夢子に今の彼女に取って、大切なものを手渡せば、彼女は暫く固まっていた。
それからカァーと血液が頭に流れる音が聞こえるような錯覚を起こすぐらい、一気に顔中を赤くする。火が出そうなほどだった。

「……っ、小太郎さんっ!っ?!〜〜も、もうっ」

女子特有の月のもの。
その用品を手渡したのだが、夢子が怒るような気がしたので、慌てて彼女に前からぎゅうっと抱きつく。
わざと甘えるようにすり寄れば、夢子は怒る気をなくしたようだった。

「……、……?(夢子、俺は迷惑をかけているだろうか?)」

「……はぁ、もう迷惑じゃないです。ただ、少し恥ずかしくて……そ、その、小太郎さん、助かってます。いつも……私のことを考えてくださって」

チュッと、屈んで甘える俺の額に夢子の唇が触れた。
それだけで口元が緩みそうになる。だが、ここはあえて不安そうに彼女を見つめた。

「……だ、大好きです、小太郎さんが大好き」

「……(俺も大好きだ)」

唇を重ねて、俺は満足してから彼女の髪を優しく撫でた。


……永劫に、夢子とこうして戯れていたい。

二人いれば

  
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