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「ねぇ、それ俺がつけてもいいよ」
「え」
「猫耳」
「えっ?!」
大袈裟に驚く彼女に優しく微笑む。
最近彼女がずっとそれを皆につけようとしているのを知ったから、自ら出向いてみた。
だって、彼女が自分のところに来ないんじゃないかと不安になったから。
「真田にもつけさせたって聞いたけど」
「あ、あはは。あの時は死兆星を見ました」
「ふふ、後で大人げないよって真田を叱っておくね」
「え、あ、いや、そのう、私が悪いので」
歯切れ悪く言う彼女の頭を撫でてあげる。
「ゆ、幸村さんっ」
「はい」
「私が悪いんです、ごめんなさいー!」
何も怒ってなかったのに、涙目でどこかに走っていってしまった彼女にため息をつく。
でも「もうしません」とは言わないんだなと小さく笑ってしまった。
いつか君に気兼ねなく話してもらえる相手になれたらいいのに。
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