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「千石さーん!」
「お。なんだい?俺に何かお願い事?」
ニコニコと、珍しく彼女から近づいてきてくれたなぁなんて思いながら、彼女の手に握られている猫耳カチューシャを思わず二度見してしまった。
「……それをつけて欲しいの?俺に??」
「はい、きっと千石さんなら似合うと思います!」
悪戯っぽく笑った彼女に、懐いたらすごく小悪魔なタイプなんじゃないかなって思った。
意外と人を振り回すタイプかもしれないなぁ。
「いいよー!……けど、その後君には俺のお願いを聞いて――って」
ダッシュで逃げなくても。
うーん、そんなに胡散臭かったかな?俺。
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