賑やか過ぎます
「なぁなぁ、ねぇーちゃん、光といつから友達なん?」

無邪気に笑いかけてくれた金ちゃんは、光くんの後ろの席に座っている。その横に毒手の白石さん。その前に小春お姉様と一氏さんだ。……う。一氏さんにまた睨まれた。もうチラリとも視線を向けないで置こう。
ちなみにその隣の席に他の四天宝寺の人もいて、あの防音室で出会った大きい人もいた。
やっぱり四天宝寺の人だったようだ。

「……光くんとは、冬過ぎたくらいに知り合いに」

「そーなんやぁ!」

嘘は言っていない。
意識を回復させてから、リハビリに励みつつ、チャットを始めた。まず始めにEveさんと仲良くなって、その後善哉さんとも会話するようになったのだ。

「……俺は3月だったよな」

ぽつりと呟きながら、十次くんは担々麺のスープを口に含む。見るからに辛そうな四川風だったけれど、平気そうだ。
というかさっき本当はトムヤンクンが一番好きなんだと残念そうに言っていたから、辛いのが好きなのかもしれない。

「……ふぅん」

斜め前で意味深に相づちを打った越前くんは、唐揚げを口に入れた。
……そうそう、この食堂だけど何がすごいって管理人夫婦の方以外にシェフの人が四人ぐらいいることである。だから、みんなそれぞれ好きなものを頼んで食べているのだ。……ある程度メニューは決まっているけれど。さすが榊おじさん経営。なんて無駄使いだろうか。


「…………」
「…………」

そしてさっきからずっと背中に突き刺さっている視線の数々が痛い。
恐る恐る振り返ったら、ジロー先輩と岳人先輩だった。わざわざ手で食器を持ちながら、逆向きに座って私を見ていらっしゃる。なんでですか。

その二人の前は忍足先輩と滝先輩だ。この四人、わざわざ座席を移動して何がしたいんだろうか。

「はっはー!人気者やなぁ、自分」

あまり食が進まないなか、急に食堂に入ってきた人に声をかけられて、びっくりした。何やら怪しい大人の人だが、連れ歩いている他の人がおじいさんとおばあさ──「何か言ったかい?」──げふんごふん、女の人で、たぶん顧問の先生たちなんだと思う。

「あ、竜崎先生!こちらにどうぞ」

大石さんが私の思考を読んだおば──んん、女の人を先生と呼んだので、正解のはずだ。

「……さっきの花柄の帽子とシャツなんは、うちの顧問っすわ。渡邊オサム、通称オサムちゃん。みた目通り怪しい大人やから、詩織は近付かん方がえぇで」

「……え、うん……というかそれ教師として大丈夫なのか……」

「財前ー、聞こえとるでー、きーずーつーいーたーわー」

「…………うっざ」

取り敢えず心底面倒そうな光くんをからかう姿を見て、小学生みたいな先生だなと思った。

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