意味わかんねー
「……おい、嘘だろー」

「なんや、岳人。何言うて──嘘やん。なんであの二人親しげなん」

俺が食堂に入ってきた二人に対して発した台詞を拾った侑士も信じられないっつー感じで瞠目してた。

「Aーっ?!詩織ちゃん、あっちの席に座っちゃったCーっ!」

うつらうつらと微睡んでいたはずのジローですら早口でそう声をあげる。その大声に気づいたのか、俺らが注目していた当人がぺこりと頭を下げてきた。
どうやら、すみません私はここで食べますっつー意志表示らしい。

「……なんで山吹の室町と肩並べて食べんだよ。クソクソ意味わかんねーっ」

せっかく俺の隣を空けてやってたっつーのに!

大体なんでそんな楽しそうに会話してんだよ。室町と喋ってなんかなかったじゃん。つか、元から知り合いみたいな空気になってんのはなんでだ。

しかもわけわかんねぇのは、室町が山吹の連中が固まってる席からわざと離れた場所を選んだことだ。なんか千石が「参ったなぁ〜」と苦笑している声が聞こえるし。

「む〜っ、がっくん、俺たちもあっちの席に行くC〜」

そう拗ねたような声を出しながら、ジローが俺の腕を引っ張ったと同時だった。

「……なんやもう推理は終わりかい」

「あ、光くん、elevenさん!十次くんだよ!私、エラい!」

「俺、ここ来る前からわかっとったで」

「なんだって。君たちは相思相愛か」

「キモいこと言うなや」
「気持ち悪いから止めてくれ」


詩織の前の席に四天宝寺の財前が偉そうに座った。
何故かこっちを挑戦的にみてきた気がして異様にムカついた。

「……っ」

「ひ、日吉、わ、割り箸が縦にじゃなくて、横に真っ二つになったけど……」

何故か後ろで日吉が割り箸を握り潰したらしく、鳳が焦ったように声をあげる。

ちょっと空気が悪い。

「……がっくん、ごめんー、残りの席が一つだからー俺が行くC〜」

「え、ちょ、クソクソ!待てって……!」

いつもよりも俊敏に動くジローを追いかけると、詩織のテーブルにつく前にジローが止まった。ついその背中にぶつかっちまう。

「ッス。この席、もう俺が座ったんで」

生意気な口調。
青学の越前だった。

「…………うぐ、リョーマくん、無理して私に構わなくていいよ」

「勘違いしないでよね。退屈しのぎなだけだから」

「……何やこの生意気な一年。うちのゴンタクレの方がまだ可愛げあるんちゃうか」

「……どーも」

肩をすくめて口角を上げた越前に財前が鼻で笑う。室町はため息をついてから詩織に話しかけていた。

……いや、だからな。
なんでお前、氷帝生のくせに他校に囲まれてんだよ。つか、転校前の立海のやつらでもねぇってどういうことなんだ。



「…………詩織ちゃんのバカーっ」

「えぇっ?!」

「あ、俺も……っ、詩織のバカやろーっ」

「ちょっ、ジロー先輩に岳人先輩、いきなりどうしたんですか?!」

「夢野詩織のバーカ!!」

「……丸井さん五月蝿いけしからん」

「ちょ、お前真田くん気に入り過ぎだろぃ!つか五月蝿いってなんだよぃ!!」

すっげー面白くなかったので、ジローに便乗したら丸井も混ざってきた。……余計面白くなくなった。

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