彼女が気にしているのは?
「ダダダダーン!千石先輩っ、あの、さっきの女の人と知り合いだったんですかっ」

山吹のみんなのところに戻れば、情報収集の為に参加したいです!とついてきていたマネージャーの壇くんが俺に飛びついてくる。

「……どうせ、前に氷帝へ行った時に軟派したのがあの人だったってオチでしょう」

「あははー、さすが室町くん。鋭いねー!」

俺が笑って頷いたら、何故か地味'sの南と東方が微妙な顔で溜め息をついた。

「それよりも練習にいきましょう」

喜多くんがニコニコしながら、ちょっと怒っている。あぁ、でもさ、仕方がないじゃん。
だって詩織ちゃんとまた再会できたことも嬉しかったし、何よりこの合宿の間一緒にいれるんだよ?ラッキー!ってテンション上がるもんでしょ。

「……そう言えば、伴爺が今度うちに入部させようとしているヤツなんだが」

「あぁ、亜久津だっけ」

バカみたいに広いテニスコートが並ぶ敷地に向かいながら、俺の後ろで地味'sがそんな会話をしていた。
前を行く新渡戸と喜多くんの二人は、これからの練習についてだとかダブルスの話をしているようだ。
壇くんは何か他校生を目にしては興奮して叫んでいるし、室町くんは黙っているだけ。

「……うーん?」

可笑しいなぁ。
彼女の言動から、うちに知り合いがいそうだったんだけど。

でも、少なくとも誰も彼女を気にしている素振りはないし、いつも通りだ。

「……イレブンさん、かぁ」

「……っは?」

ちょうどテニスコート前について、集合している跡部くんたちを目にした時にぽつりと呟いた俺のセリフに、室町くんが小さく反応してきた。

サングラスの向こうの瞳は残念ながら見れないけれど、雰囲気から動揺しているような気がする。

「へぇ。室町くんがイレブンさん?」

「な、なんで千石さんが俺のハンドルネーム知っているんですか!」

「……あはは、教えてあげなーい」

まだよく関係性がわからないけれど、これは理由を教えちゃいけない気がする。

室町くんには悪いけど、ね。

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