気持ちの切り替え!
──ぐっと背筋を伸ばして気合いをいれる。

なんというか、もう泣かない。そして涙を止めようとして仰け反り転ぶなど二度とするもんか。

「よしっ!というわけで、ジャッカルさん、何かお手伝いすることはありませんか?!」

「よしっつぅか、お前本当に独り言すごいな。お前には秘密を打ち明けないと俺は誓うぜ」

「そんな、寂しい!」

「そういう問題じゃねぇだろ。……っと、手伝いなら……そうだな、赤也でも手伝ってやってくれ」

ジャッカルさんが苦笑しながらそう言ったら、左右からガタガタンっと物音が同時になった。
視線を動かせば、ジャッカルさんと同じ山小屋を調べている丸井さんと切原くんが転けている。……一体どうした。

「な、なんで赤也なんだよぃ!」
「ここは後輩に譲れよ」
「さ、さっきから、ジャッカル先輩は何に気を回してるんッスか?!俺、別にコイツの手伝いなんて必要としてませんから!」
「……夢野の顔見てもう一度言ってみろ」
「っ、あ、アンタが、そんなに手伝いたいんだったら、俺はべ別に構わないけど……」
「ちょ、赤也!お前、なんか台詞の意味合い変わってるだろぃ!!必要としてないっつったじゃん!」

ぎゃあぎゃあと騒がしくなった三人を微妙な顔で見つめていると、開きっぱなしにしていた入口の扉から顔を覗かせて、幸村さんが「夢野さん、少し手伝ってもらえるかな?」と声をかけてこられたので、幸村さんを手伝うことにする。
小屋から出る時に一度振り返ったら、ジャッカルさんが盛大に溜め息をついていたのと、丸井さんと切原くんの顔が捨てられた子犬みたいになっていてびびった。
……後でジャッカルさんには、不動峰のみんなが見つけたらしい飲める湧き水でも持って行こう。
丸井さんと切原くんにはあとでもう一度会いに来よう。本当はお菓子でもあげたい気分ではあるが、いかんせん遭難中である。
今のところ先生方も見つかっていないし、私が出来ることといえばヴァイオリンを弾くことしかできないが。




「……それで幸村さん、お手伝いって」
「あぁ、真田がベッド下に何かを見つけたらしいんだけど、隙間に手を突っ込んだら抜けなくなってね。……夢野さんなら取れそうかなって」
「……真田さん救出じゃないんですか、あれ?」


ベッド下にあったキノコ図鑑数冊はすぐに取れたのだけど、挟まったままの真田さんを引っ張るのに一苦労したのだった。

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