*筆頭に死角なし!
「Hum、羽根突きbattleか……」
「そ。ルールはさっき説明した通り。……どう?やる?馬鹿宗」
ニヤリと口角をつり上げ、挑戦的な視線のmonsterもとい菊一は、とんとんと羽子板というもので肩を叩いていた。
「Ha!!honeyを賭けた勝負だ。やらないわけないだろう?…まぁ、間違いなく俺の優勝で決まりだがな!you see?」
「ま、政宗殿、某も負けないでござるっ」
「馬鹿共めっ、我に勝てると思うでないわっ」
「夢子ちゃんがかかってるんだから、参加しないわけにはいかないよねぇ」
「ウキキ!」
俺のセリフに便乗するように、真田を始めとする他野郎共が煩く騒ぎ始める。
「……負けたら、顔に墨を塗るのか……。ふふっ、おもしろいね」
「やれ、暗。ぬしには我がきちんと描いてやるからな。ヒヒッ」
「なんで小生負け決定?!」
「家康ぅっ?!私と勝負しろぉおっ」
「おぉ、三成、やる気満々だな!ははっ」
一部、僅かに主旨とずれてるようなやつらがいるが、まぁ……結果、honeyと二人っきりで初詣デートという餌に釣られたのは間違いないだろう。
「……おっと、アンタらも参加か」
「あはー、当たり前でしょー?」
「……(こくり)」
菊一が張り切って、何やら対戦する表らしきものを作っている間に、忍二人に話しかければ、さも当たり前という顔で返答される。
「つか、変態もやるつもりらしいぜ?」
「おや、西海の鬼よ。私が参加することに何か文句でも?」
「……イイエ、ナニモ」
ゆるりと首筋に絡められた白い手に元親が、遠い目を浮かべた。
……相変わらず、気色悪い野郎だ。
「……っと、小十郎。参加しねぇと言っていなかったか?」
「ま、政宗様……い、いえ、実は」
菊一が意気揚々と張り出した対戦表を見て、俺は右隣に立っていた小十郎に声をかける。
菊一に焚きつけられた俺らとは違い、こいつは冷静に客観的な立場にいたはずだ。
なのに、表に名前があるってのはどういうことだ?
口ごもる小十郎を訝しげに見つめれば、意地の悪そうな笑みで猿飛が近付いてくる。
「右目の旦那ってば、さっき夢子ちゃんに応援していますね!って声掛けられたから、急遽参加することにしたんだよねぇ?」
「ばっ、さ、猿飛っ!!」
慌てる様子から、どうやら猿の言っていることは本当らしい。
「Hum……、だが小十郎。対戦することになっても、俺は手加減しねぇぜ?お前も本気でこいよ?」
「……、はっ!承知しております」
一瞬躊躇ったものの、小十郎はそう答えると、いつものcoolな表情に戻った。
だが……
何故honeyは俺の元に声をかけにこない。
視線だけhoneyを追えば、どうやら俺以外の面子全員に声をかけているようだった。
「…………Han,monsterめ」
そしてmonsterが一人ニヤニヤと俺を見ている様子から、それがmonsterがhoneyにわざとそうさせているのだと、すぐに気づいた。
つまんねぇ作戦立てやがって……
……否、monsterの表情に気付かなければ、すっげーdamageデカいもんだったけどな。
つか、わかった今でもちょっと……胸痛ぇ。
もん……菊一と毛利は菊一の勝ち
真田と猿は猿
大谷と黒田は大谷
元親と変態は変態
風魔と竹中は風魔
石田と徳川は徳川
俺と慶次は俺の勝利で、次は追加参戦した小十郎とだ。
「げっ」
「あははっ!忍クン?!アタシの勝ちだよ!ふははははっ」
「……やれ、負けたか」
「フフフ、私の勝利ですね」
「……(勝った)」
「ははっ、やはり風魔にはかなわぬな!」
次々と勝敗がついていく。
俺と小十郎の対戦もだ。
もちろん、それは俺の勝ちで。
「……政宗様、流石です」
「Ha!!こっちはjealousyで燃えてるからな」
「……は?」
ボソッと呟いた台詞に眉根を寄せ、首を傾げる小十郎。
だが、説明をする気はない。
そんな流れで、風魔にも鮮やかな勝利を修めた俺は、変態を下した菊一と最終対決になった。
否
この勝負、はなっから目に見えていたがな!
『……あ、あのっ、政宗さん……、お、応援してますからがんばってくださいねっ』
「は、honey?!」
monsterとの対決直前にかけられたhoneyからの応援の言葉は予想外だった。
菊一の作戦に従っていたはずのhoneyからのそれは、正に愛の告白に近いんじゃないのか?
イライラしていた胸の中が、フワフワとした温かい気持ちに包まれる。
「馬鹿宗、どうしたんだよ?そんな不抜けた顔でアタシに勝てると――」
「Ah,monster!bed roomにgoal inだ」
「――はぁっ?!」
あー、ダメだ。
にやけ顔が止まらねぇ。
頭ん中のpinkな妄想も絶好調に
「Honeyとmakelove!」
『へっ?!』
あっという間に菊一に勝利していた。
後から聞いた話だが、その対戦中の俺は終始背筋が凍るほど、気色悪かったと。
そして
実はあのタイミングでのhoneyの応援も、monsterの策の一つだったと。
……何故だ。
無性に恥ずかしいじゃねぇか
くっ、……shit!!
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