*無敵に一目惚れ!

――あぁあぁあぁ、なんと愛らしいのだ。彼女は!!

こ、これが……

「俗に言う、一目惚れか!!」

道の真ん中で、カッと勢いよく叫んだ俺の目の前を黒猫が呆れたような冷めた目で横切っていった。

だが、気にはしない!

何故なら俺は無敵!

無敵な俺の一目惚れも無敵!

つまり、俺の恋は無敵!

だから彼女は俺の愛を絶対に受け入れる!

「……よ、よしっ」

気合い十分だ。

彼女との出会いから今日半日、ずっと彼女を尾行していたわけだが……

い、否!声をかけるのを迷っていただけだぞ!ひ、一目惚れは初めてのことだから!

……こほん。

改めて、俺は前を歩く可憐な少女に目を向けた。


「……(ボカッ)」
「ぐぁっ?!」

な、な、なぜだ!

「……っ(げしげしっ)」
「い、痛っ、やめっ……!……はっ?!」

いきなり現れた男に攻撃されたと思ったら、彼女を見失ってしまった。

くっ、不意打ちとは卑怯な……!

無敵なのに負けたのは、いきなり攻撃されたからだ!

あの赤髪の男め……っ


「…………ぐすっ」

鼻を啜ったら、妙にしょっぱかった。
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